【経験発表】危険度グラフを活用した産業機械の進捗管理手法に関する研究

イベント名 派生開発カンファレンス2023
時間 13:05~13:45
講演者 株式会社神戸製鋼所 弘中 諒
概要

(1) 背景
当社機械事業部門の高砂製作所では、様々な受注設計生産品の産業機械を一品生産している。製作所内の加工工場にて加工する加工品、外部の購入品と合わせて組立工場で最終製品を組み立てている。同機種の最終製品の受注オーダにおいては反復的な要素が含まれることがあるものの、設計、出荷先などの主要な特性において独自性があるため、それぞれの受注オーダは個別のプロジェクトとして管理される。このような受注設計型生産では、メーカー責務で納期遅れとなると、遅れ日数に応じて決まるペナルティを顧客に支払う必要がある場合も多く、顧客からの信頼と収益確保のためには納期遵守は重要である。納期遵守のためには組立前に各種部品を揃える荷揃率向上が重要である。

(2) 課題
荷揃率向上のためには進捗管理において定期的に多数ある部品の中から荷揃遅れのリスクが高い部品を抽出して、各担当部門が対処をおこなう必要がある。現状の進捗管理では部門間で共通の管理指標が存在しないなか、担当者がそれぞれの優先度に従い部品のフォローアップをおこない、効率的な進捗管理ができないことも多かった。従来、このような進捗管理にはフィーバーチャートが用いられてきたが、多品種の受注設計生産品を生産している工場に特化した進捗管理手法は十分に確立されてない。

(3) 実施方法 (着想や創案など)
私たちは製造業向けにフィーバーチャートを応用した「危険度グラフ」 の手法をもとに、部門間共通指標によって部品の納期遅れリスクの高い部品を瞬時に抽出できる進捗可視化システムを開発した。本システムは3つの特徴がある。まず生産管理システム、小日程計画システム、調達EDI のデータと、人手で取得・生成したデータをもとにして、部品の進捗を可視化できる。次に部品・工程毎に持つ情報をもとにユーザーが必要な部品をフィルタリングして、危険度グラフに進捗を描画できる。最後に各部品複数の納期を設定することができ、優先度が高い納期をもとに進捗を可視化できる。

(4) 結果
2020 年本システムの試行を開始して、新業務プロセスの有効性を確認した。

※本セッションの動画公開はありません。