不確定要素を持つ作業を探す

 前段までのところで、何とか顧客の要求に合うスケジュールが書けたことになり、関係者はホッとして気が抜けるものです。

 “まだ 何かあるのか!”

 あります! 私たちの仕事はスケジュールを書くことが目的ではありません。スケジュールを書くのは、「約束」を果たすための一つの方便にすぎません。それに、目の前の「表」に、全ての問題が表現されている訳ではありません。

 この種の取り組みが初めての場合は、いろんな「落とし穴」が待ち構えています(後段の“トピック”を参照して下さい)

 私たちはスケジュールを考えるときに、通常、2種類の立場のどちらかに立っています。こうして指摘されるまで、本人はほとんどこのことに気付かないと思います。すなわち、2種類とは、

  1)なんとか辻褄を合わせようという姿勢
  2)要求が無理なことを見せようという姿勢

です。

 残念ながら、なかなか両者をバランスしたところに立てるものではありません。この結果、前者の場合は、

  ・必要な作業を見落としている可能性
  ・不確定な要素が含まれたままになっている可能性

があります。

 逆に後者の場合は、

  ・作業のボリュームが必要以上に誇張されている可能性
  ・作業そのものが捏造されている可能性

があるのですが、こちらの方はスケジュールを外す方向にあるため、前段階で見つけられる可能性が高くなります。したがって、問題は前者の方です。

 一般に「人は、自分のスケジュールは短めに見積もるもの」です。そこでは“良く思われたい”という心理が働くものと思われます。余程やりたくない仕事以外は、概ね短めに見積もられます。

 問題は、そのときに不確実な要素を見落としてしまうことです。短めになっているため、概スケジュールを外していません。また、メンバーの中で、そのことに気付いても、一瞬の後に「多分、当人もそのことは気付いているだろう」というフレーズで、それを言い出す気持ちが打ち消されてしまいます。それに遠慮も出てしまうことも考えられます。

 どうしても、「不確定な要素を洗いだす」というテーマを揚げて、お互いに指摘したり意見を出す「」を設けないと、この種の問題は出てこないものです。

 もちろん、不確定な要素は、必ずしもその場で解決できるとは限りません。しかしながら、少なくともその「不確定」な要素を解消するためには、何が必要なのか何が分かれば解消するのか、といった「キー」については把握しておく必要があります。単に「問題」を指摘しただけでは、何の解決にもならないことに注意して下さい。

 場合によっては、そのため(不確定要素を解消するため)の作業を早めに想定しなければなりません。また、どうしてもやってみなければ分からないものなら、その作業の着手を早めるためにスケジュールを調整することも必要でしょう。

 もし、この段階で、具体的にその問題に対する着手が想定できない場合は、もう一度、この問題を検討し直す「時期」を指定して置いて下さい。ちょうど、このテーマに“タイマー”を仕掛けるような感じです。最低限、この処置は必要になります。

 「不確定要素を探す」という行為は、この種の取り組みで忘れられることが多く、その結果、折角考えられたスケジュールも崩されてしまい、挙句は「スケジュールなんて合いっこない!」というレッテルを貼ってしまうことになります。

 おお怖!


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