(Index)
1度開発されたシステムは、それ以降、何年もの間、派生モデルの開発(いわゆる保守開発)に提供されます。時には、10年もの間、生き続けることがあります。それだけに最初のベースとなるモデルが、アーキテクチャ的に上手く考えられたものでないと、そのあとの保守開発で苦労することになります。
最初のモデルで、適切なドキュメントが作られていなかったり、プログラムのモジュール構造がいい加減であったり、流れを制御するフラグやグローバル・データが氾濫していたりすると、このあとの保守開発では、回を重ねるごとに、混乱の度を増していき、終には要求を満たせなくなります。
それだけではなく、そこに従事するソフトウェアのエンジニアも、システムの混乱に巻き込まれ、何時終わるとも知れないバグとの追い駆けっこに、心身共に疲労困憊してしまうのです。もちろん、そのような開発組織から生み出されるシステム(製品)は、決して満足なものではないことは言うまでもありません。
要求仕様書や設計書の書き方などを示した文献の殆どは新規開発を想定したものです。分析手法や設計手法で示された成果物やドキュメントの作成手順は、新規の開発案件向けであって、そのままでは保守開発といわれる派生モデルの開発には適さない部分が多く含まれています。
ここでは、現実問題として、派生モデルの開発をどのように進めていけばよいのか、それに必要な設計書などのドキュメントはどのようなものなのか、といったことについて紹介します。
◆差分開発