庵主の日記

(2001/2/5〜2001/2/214)

 2/5 高騰する野菜
 2/7 トラブル続きのソフト

 2/9 政治に負けた日銀
 2/12 一つの時代の終わり?

 2/14 調整型の限界?


 2/5 高騰する野菜

 野菜の値段が跳ね上がっている。「厳冬」が原因だというが、この程度で不作になるようでは、日本の台所は不安である。20年も30年も前の時代ならまだしも、「農業」に新しい技術が入っていないのだろうかと思いたくなる。もっとも、農協の存在が農業が「業」になることを阻害してきたことを考えると、何も変わっていないのかもしれない。だとするなら、「フェールセーフ」を要求するのは筋違いである。消費者としては、厳冬で不作なら、さっさと安い野菜を輸入して欲しい
 それとも、厳冬につけ込んで、「青果市場」が価格を操作しているのだろうか。

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 2/7 トラブル続きのソフト

 日本の「IT産業」の担い手となっている携帯電話のソフトがトラブっている。新しい機能が増えてきたことが背景にあるのだが、技術がそれに追いついていないことが原因である。旧態依然としたソフト開発のスタイルで、テストの事など殆ど考えられていないのではないか。機能数が倍になれば、そのままではテスト作業はパンクする。最初からテストの方法も一緒に考えなければ、まともな製品にはならない
 特に、メーカー系のソフト開発組織に多く見られるのは、「テストをしっかりして品質を上げよう!」という考え方から抜けていないことだ。ソフトウェアのテストに、こんな考え方は何の意味もないことに気付いていない。専業のソフト会社も、メーカーのソフト部隊を救うだけの力がない。いや、足を引っ張っていることさえありそうだ。既に、一部のメーカーは、携帯電話のソフト開発に、インドのソフト会社を使い始めた。このままでは、日本のソフト会社の未来はない。

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 2/9 政治に負けた日銀

 日銀が公定歩合を0.15%引き下げた。引き下げたと言っても0.35%になっただけで、殆ど実質的な意味があるとは思えない。株価の下落を防止することへの政府や与党の圧力に応じただけである。昨年の周囲の反対を押し切っての「ゼロ金利解除」の時は、何でも日銀のせいに出来るカードを政府に与えてしまったが、今回は、そのカードを無効にするのが狙いかと思われる。日銀としては、今度は政府の番ですよ、というところか。
 税制の改正も見送られたし、減税の“げ”の字も出てこない。新規事業を支援するような制度も出てこないし、規制の緩和も進んでいない。横浜で古物商の免許を取るのに、申請から60日もかかる有り様である。8年目には、20日程で交付されたのに。銀行のサービスも、以前よりも悪くなった。その上、タダみたいな金利でも利益を上げられない日本の銀行が、日本の経済を潰している状態も変わっていない。つまり、何〜んにも改善されていないのである(企業の中も同じか)。
 このままでは、日銀は「最後のカード」まで繰り出さざるを得なくなるだろう。

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 2/12 一つの時代の終わり?

 企業の倒産が相次いでいる。信用保証協会による「特別保証制度」のカンフル剤が切れたことも背景にあるが、もっと大きな要因は、時代の変化というものである。20世紀の後半の日本を支えた中小企業も、21世紀には、日本に於てはその役割を終えたということである。新しい時代には、新しい産業が必要である。新しい中小企業が必要なのである。
 問題は、日本という国が、企業を永遠のものとして考えてきたことである。保険や年金制度なども、その考えの上に立っていて、これから起きる変化を想定していないことである。それは無理もないことである。日本が明治維新によって世界に門を開いてから、わずか1世紀余りしか経っていないのである。資本主義という考えを取り入れてから、まだ100年である。今、ここで学べばいい。そして、新しい時代に向かって、変えていけばいい。旧来の組織は消えても、新しい企業が活動しやすいように制度を整備すればいい。

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 2/14 調整型の限界?

 「えひめ丸」の事故の一報が入ったときの首相の対応が問題になっている。首相の言い分は、それぞれの担当者がいて、その人たちがしっかりやってくれているのだから、別にやることはない、という主旨の発言をしているが、まさに「調整型人間」の典型を見る思いがした。首相として何をしたいか、いや、何をスべきという考えに基づいての行動ではなく、みんなの意見を聞いて、そこから“よさそうな”ものを取り上げるというスタイルである。
 戦後の高度成長の中で、このようなタイプの経営者も多く輩出されたが、政治家も例外ではなかったということである。日本の企業がその方向を見定めることができずに停滞しているのも、政治が国の方向を示す事が出来ずにもたもたしているのも、その起源はリーダーの不在にある。裏を返せば、調整型の人間が幅を利かせているところに問題がある。
 それにしても、与党の中から首相の参院選前にも退陣を要求するという話がでたことが市場に流れると、平均株価が朝方の下げ基調から反転するというのも情けない。

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