庵主の日記

(2000/12/16〜2000/12/26)

 12/16 有害って誰が決めるんだろう
 12/19 アンバランス

 12/19 日本は世界の足枷か?
 12/25 運用できるか

 12/26 衛星模型も失敗


 12/16 有害って誰が決めるんだろう

 「バトルロワイヤル」が封切られた。国会議員や文相などが、事前に注文をつけたことが、「一度見てみよう」とかえって話題性を高めたようだ。「17歳」が問題になっていることもあって、「道徳教育」の必要性が叫ばれている。政府の方も、その方向で教育プログラムを見直そうとしている。そんな流れに逆らうような形で出てきたものだから、標的にされたのだろう。テレビの番組に対しても「有害番組を自粛するように」という「圧力」が掛けられた。
 だが、「有害」っていったい誰が判断するのか。一国の首相が「有害」と決めたら、それが有害なのか。それこそ、戦前の社会とまったく同じ構造ではないか。先の週刊誌も、発売の数日前に事前に検閲されていたわけだが、テレビなどのマスコミは、記事の内容を恐る恐る“触れた”だけである。ましてや、事前の検閲についてはほとんど抗議しない。週刊誌よりも「格」が上だとでも思っているのだろうか。それとも、政府の顔色を窺いながら生活することに慣れてしまったのだろうか。マスコミは、政府に対して批判的であるところに存在価値があるということを忘れていないだろうか。ロシアのマスコミだって、堂々と政府を批判しているというのに。

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 12/19 アンバランス

 これまで蓋をこわごわ開けてきた整備新幹線の構想が、ここに来て堰をきったかのような流れ出した。約2300億円と言う数字は、来年の参院選を睨んでの地方への人気取りとしか思えない。まるで、ブレーキが効かなくなった電車のようである。
折しも、京福電鉄が衝突事故を起こしたが、たしかここは地元資本で細々と経営してきた鉄道会社である。今回の事故はブレーキの故障が原因のようだが、累積する赤字のために車両も70年前のものを使い続けており、おそらく整備も限界だったのかも知れない。だから、ほんの僅かの資金があればこの事故は防げた可能性が高い。
 効かなくなったブレーキを必死に操作して電車を止めようとして亡くなった運転手の、なんと哀れなことか。いくつもの駅を通過してもその場を逃げ出さなかった運転手の、なんと健気なことか。整備新幹線に群がる人たちには、この運転手の気持ちは分からないだろう。今回の京福電鉄の事故は、整備新幹線の「明日の姿」に見えて仕方がない。

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 12/19 日本は世界の足枷か?

 アメリカの NIC(国家情報会議)が民間の専門家と一緒になって、2015年の世界の情勢を予測している。その中で、「日本については、労働力不足や構造改革の遅れによって、世界の経済成長にとってブレーキになる可能性がある」(時事通信社)と指摘しているという。今の様子では、金融機関の不良債権処理は、少なくとも5年ぐらいは引きずるだろうし、そうなると、他の産業の足を引っ張ることになるので、株価などにも影響与えるという、完全に「悪循環」に入りそうである。一方では、“景気浮揚”という大義名分でもって、財政の投入が続けられるだろうから、その方面からも、経済の再起の障害となるだろう。
 どこで「痛みを伴う改革」を実施するかである。

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 12/25 運用できるか

 郵貯などの資金が、これまでは大蔵省の方で一括して運用していたが、これからは郵政省自身が自主運用することになっていて、その際の運用配分が公表された。それによると、80%は国内債券で10%を株式で運用するという。
 基本的には、大量発行する国債の受け皿としての役割を担うのだろうが、株価が低迷してくると、そんなことを言ってられるかどうか。現に、日経平均の株価が大幅に上昇した中には、これを好感した動きも見られるという。
 もっとも、株式で運用するとしても、持ち合い状態が入り組んだいびつな株式市場で、果たして、しっかりしと運用益を上げられるかどうか。政府の意向(株価PKO)や証券会社の口車に乗せられるのが落ちのような気がするが。

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 12/26 衛星模型も失敗

 25日にアリアンロケットで打ち上げた衛星の模型も失敗した。アンテナが途中で広がらなくなったようだが、そんなに難しい技術なのだろうかと思ってしまう。それに、「模型」というのも気になる。我が国の最近の状況では、模型で成功しても、ほとんど安心できない。そもそも、なぜ「模型」なのかというところを知りたい。何か確認したいことがあったのだろうが、模型を“打ち上げ”ないと確認できないものなのか。
 片方では、部品を軽くしてとか言って、コスト意識を見せるかと思えば、反対側では、高価な“実験”をやっている。それでも、成功したのならまだしも、アンテナが開かないなんて。アンテナの性能を確認するための実験なのに、そのアンテナ開かないのでは話にならない。

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