庵主の日記

(2000/11/30〜2000/12/9)

 11/30 転がり込んできた首位の座
 12/1 安易なセーフガードだのみ

 12/2 税制のルール無き裁量運用
 12/5 サラリーマン化の背景は?

 12/9 エンジンを作り直す?


 11/30 転がり込んできた首位の座

 雪印の転倒で、その他の乳業メーカーが売り上げを伸ばしている。自分はな〜んにもしていないのに、敵失によって転がり込んできた。関係者は喜んでいるのだろうが、私に言わせれば、危ういことこの上ない。もともとほとんど「無競争」の業界であり、企業の体質としては、雪印と大差ないだろう。実際、雪印の問題が出ている最中に同じようなトラブルを起こしてきた。たまたま問題が小さくすんだだけであり、雪印の影に隠れただけということもある。
 明治の役員の「当社は元々21世紀にはトップ企業を目指していた。たまたま不幸な事件で首位に立った形だが、うちはうちのやり方で(首位を)キープしたい」という言葉の背後に、空っぽの箱が見えるのは私だけだろうか。

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 12/1 安易なセーフガードだのみ

 中国からの製品の輸入が急増している。それもいろんな分野に広がっている。家電製品は言うまでもないが、野菜繊維製品も相当な広がりを見せている。そのため、農協や繊維業界から「セーフガード」の発動を求める動きが出ている。家電においてそのような動きがないのは、ほとんどの国内の企業が輸入しているからである。それに対して衣類業界では、新参の「ユニクロ」などが輸入しているが、旧来の多くの企業は、「被害者」という位置に居るため、悲鳴を上げているのである。
 1970年代、アメリカの繊維業界は、日本からの高品質で安価な製品の輸入によって、今日の日本の業界と同じような目に合った。つまり、25年前は、日本は加害者の側にいて、アメリカは「失業の輸入」として議会をあげて反対運動を展開した。その日本が今、中国からの輸入の攻勢にさらされて悲鳴を上げているのである。
 確かに、直接に雇用の問題に発展するので、“セーフガードを!”という気持ちは分かるが、これが、時代の流れであり、構造の変化なのである。セーフガードも、一つ間違えれば、「便宜に生きて、便宜に死す」という状態に落ちる危険が高い。

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 12/2 税制のルール無き裁量運用

 インテルジャパンなど、主に外資系企業の関係者に対する「追徴税」の徴収がニュースになっている。ストックオプションの解釈の違いが原因なのだが、国税庁の方は、ストックオプションは給与として扱うという。だが今回は、雇用関係のない親会社の株というところで問題になっている。つまりそこには「給与」は発生していないのである。自分が所属する会社の株であれば、今まで通り「給与」ということになるのだろうが、今回の場合は、「給与」というのは強引すぎる。
 企業や人が国際化する中で、日本の法律がまったく時代に取り残されているのである。たとえ自社株の「ストックオプション」であっても、単純に「給与」とされたのでは、「ストックオプション」の意味を為さない。こんな税制のままでは、優秀な経営者や企業化、ビジネスマン、エンジニアは、日本を脱出していくだろう。折しも、増税の動きがあちこちに見える。

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 12/5 サラリーマン化の背景は?

 阪神の新庄が大リーグに挑戦する方向で動いている。うまくいくかどうか、危ぶむ声も聞こえるが、向こうに骨を埋める積もりで行けばよい。「所属することに意義がある」と思っているのではないかと疑いたくなる選手が多い中で、こうして挑戦する姿勢は評価したい。これまでは天性だけでやって来たが、メジャーにあってはそれでは1年間通用しまい。そこに工夫と継続が求められるだろう。メジャーの練習方法も、もしかしたら新庄には合うかも知れない。もし、新庄がアメリカで生まれ変わったとき、日本のプロ野球に巣くう問題が表面化する。それはコーチの能力だ。日本のプロ野球には、コーチの正式な資格というものは存在していない。要するに、一般の企業と同じで、単に経験者であることでコーチの仕事に就いている。これがサラリーマン化の根本原因である。

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 12/9 エンジンを作り直す?

 えっ、今から作り直し?
 これって、ソフトの開発の中でもよくあるパターンじゃなのか?
 こちらをいじるとあっちがおかしくなり、あっちをいじると、向こうがおかしくなる。アーキテクチャが崩れてしまったり、前任者の資産を引き継いだものの、よく分からないままいじったりするとよく起きるよね。
 そんなとき、「作り直したほうが早いんじゃない?」と誰かが口を開く。チームのみんなは現状ではどうすればよいか分からない状態だから、特に誰もその提案に反対しないが、内心では、「作り直すと言ったって、どう進めるつもりなのだろうか」と思っている。でも、それは口に出せる状態(雰囲気)ではない。「決まった!。今から作り直しに入る」という声で我に返る。 
 「さて、どこから手をつけるんだ」
 ソフトの世界では、多くの場合、個々の技術者がそれを仕上げるスキルが不足しているわけではない。むしろ、プロジェクトを推進するためのマネージメントに大きな欠陥があって、メンバーの力が発揮されるようにプロジェクトを進めるためのアイデアや仕掛けが不足していることが多いのだが。

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