庵主の日記

(2000/8/29〜2000/9/15)

 8/29 産官学協同研究の意味
 8/30 マニュアルはあっても
 9/1 ドクターヘリ、こんどこそ機能するか
 9/5 中小企業の立ち遅れ
 9/15 家電リサイクル法


 8/29 産官学協同研究の意味

 IT革命でアメリカに周回遅れとなった日本が、ナノテクでまたも同じ失敗を繰り返そうとして居るように見える。産官学の共同活動は大いに決行なのだが、その実態が、単なる予算の消化に過ぎなかったりしていないだろうか。アメリカ再生の起爆剤となあった「Made in America」のレポートにも「産学官」の協同が提案されているが、日本で行われているものとは、違っているように思える。
 日本の場合は、「官庁」所轄の研究機関が、全体の取り組みのガイドラインを作るということで、取り組みのテンポを遅らせる結果に成っていないだろうか。民間が、自らの決定のリスクから逃げるための方便として「官」を担いでいないだろうか。

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 8/30 マニュアルはあっても

 雪印の大阪工場の家宅捜査で、危機管理マニュアルや苦情対応書類などが多数押収されたようだ。どのようなマニュアルが作られたか知る由もないが、厚生省も絡んでいることだろうから、内容としては遜色はないのだろう。
 いつも感じることだが、今回もマニュアルは作られるが、それが現実に機能していないのである。なぜ機能しないのか。理由はいくつかあるだろが、「作っただけ」になっていないだろか。実際に、それにそってどれほどのトレーニングが行われただろうか。想定訓練も、次第に惰性に流されていなかっただろうか。それを検証するプロセスはあったのだろか。
 いや、どんな優れたプロセスが作られていても、それを運用するのは人間である以上、企業のトップが、常に従業員の意識を顧客の方に向けておかなければ、プロセスもマニュアルも機能しない。

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 9/1 ドクターヘリ、こんどこそ機能するか

 厚生省が来年度から5年間で30機のドクターへリを配備する方向で予算案をまとめているという。それは大変結構なことであるが、現実の問題がクリアされているかどうか心配である。
 今の法律では、救急車などの消防との直接の無線交信はできないことになっているはずで、実際には、いったん、救急車から関係病院に救急無線で連絡し、そこから改めて、別の無線でドクターヘリに連絡することになるという。地上から場所を伝えたりすることが生じるが、一刻を争うときに、こんなことをやっておれない。縦割りの省庁の壁の弊害で、せっかくの案も、効果が薄れてしまう。

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 9/5 中小企業の立ち遅れ

 ASPが、当初の目論見と比べて、普及していないという。どちらかというと、ソフト開発の資金を必要としないで、インターネットの環境があれば、すぐにでも低料金で使えるということで、中小企業がIT化を進めるのに、好都合ということで浮上した方法だが、どうやら、中小企業の方が、それを受け入れるだけの準備が整っていなかったようだ。高齢化していたり、ネットを操作できる人がいないかも知れないし、そうしたソフトのアウトプットを使いこなせない可能性もある。ほんとうに必要なのか?と自問したら、どうしても必要という答えが出てこないのではないか。

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 9/15 家電リサイクル法

 家電リサイクル法で、来年から家電の下取りに費用がかかる。業界としては、この価格は”勉強”したつもりだろうが、政策の意図が感じられない。家電リサイクルの習慣が身に付いていない段階でこんな料金設定をしたら、消費税のときと同じように、実施前に駆け込み需要が発生してしまうだろうし、リサイクル法の実施後は、所構わず捨てられるだろう。運悪く、10年前と違ってワンボックス車やRV車が普及していて、ちょっとした家電製品でも簡単に運ぶことができる。今日の社会的マナーの低さから考えると、夜中に山の中に運んで行って捨てるぐらいのことは躊躇なくやってしまうだろう。
 業界は、本気で家電リサイクルに取り組み意志があるのか疑わしいし、政府も、法律は決めたのだから、あとは皆さんの責任で・・というのでは政策にならない。本気で普及される気なら、当初は料金は半額以下に設定し、不足分は税金で補えばよい。消費税の裏の費用でもあるのだから。

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