庵主の日記

(2000/8/1〜2000/8/5)

 8/1 高すぎるか?
 8/2 再就職者の6割が減収
 8/3 公衆電話事業を建て直す?
 8/4 安全の前提は?
 8/5 コミュニティが作れない?


 8/1 高すぎるか?

 渦中の新生銀行が、海外のコンサルティング会社2社対して、22億円の報酬を払っていたということで、高すぎると言わんばかりに騒いでいる。金融再生委員会として考えを聞くとまでいう始末である。統制国家丸出しだ。
 たしかに、素人からみれば、いったいどのような事ができれば、それだけの報酬がもらえるのかと思いたくもなるのは分かるが、金融機関やそれに関係する人まで、「分からない」と言うのでは、「あなたたちも素人ですか」と言うことになってしまう
 それよりも、一刻も早く「素人国家」を脱して、この種のコンサルティングを海外の企業や個人に依頼しないでも済むようにならなければならない。いや、海外から依頼されるようにならなければならない。
 もっとも、この件は、新生銀行の負担から、親会社の投資家負担に切り替えたが・・・

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 8/2 再就職者の6割が減収

 転職経験者で、35歳を超えると、約6割の人が以前と比べて減収になっているという。もっとも、それまでが取りすぎていたのかもしれない。日本の企業では、殆どが年功(功かどうかあやしい?)で賃金が決まっていたのと、職種で評価されてきたわけではないため、転職時には、どうしても減収になりがちである。
 それを裏付けるデータとして、「再就職に際して何が評価されたか」という質問に対して「紹介者のコネ」が「資格や専門知識」の2倍にも達している。これは、単に、前の会社では「課長」や「部長」を勤めてきただけということを表している。

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 8/3 公衆電話事業を建て直す?

 携帯電話の普及に歩調を合わせるかのように、公衆電話の撤去が相次いでいる。100年という歴史の中で、公衆電話の活躍の場が、次第に失われていくのは、避けられない現実である。当然、事業としては大赤字が予想される。
 そんな中、ICカード式の新機種で巻き返しを図ろうという。確かに、ICカードなら、集金の必要はない。だが、ICカードを持つ人で携帯電話を持たない人がどれだけいるのだろうか。いったい、どのようなマーケットが見えているのだろう
 公衆電話は、携帯電話が使えない場所でしか必要とされないのではないか。ちなみに、私の手元にあるテレホンカードは、先日新幹線がトンネルの中で停車したときに2年ぶりに役に立ったが・・・
 もし、新幹線の公衆電話がICカードしか使えなかったらどうしよう。

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 8/4 安全の前提は?

 東京電力の福島第1原発の6号機でステンレス細管の1本が破断して手動停止させた事故は、その前に起きた地震(震度4)が直接の原因だという。元来、原発はこの程度の地震では、まったく影響を受けないはずであったが、この細管は、腐食していたため、この程度の地震によって破断したものというが、それでは、現在の耐震基準の前提が、全ての部品が全く正常の状態を想定していることになる。原発の安全性が、そのような限定的な状況の上に成り立っているとすれば、大きな間違いである。本当に、考えられない状況が重なったのならまだ許せるが、細管の腐食は、事前に想定できていることである。他にも、想定できる範囲で、条件を悪くするような要因があるはずである。
 「ソフト」以外は、「劣化」等の経年変化が避けられない以上、耐震基準も定期的に見直す必要があるのではないか。

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 8/5 コミュニティが作れない?

 阪神大震災で家を失った人達が暮す市営の復興住宅で、昨年4月からすでに、43人が誰にも見とられることが無いまま亡くなっているという。なんとも慘しい状況か。前の仮設住宅のときから合わせると、相当な人数になるのではないか。
 地震という、まさに天災に遭遇したことで、これまでのコミュニティが崩壊したまま、結局、新しくコミュニティが作られなかったということである。「住宅は用意しましたので、そちらに移ってください」というだけで、それがたとえ「集合住宅」であっても、”コミュニティ”は成立しない。この人達は、「隣組」のようなものを原点とした意志疎通手段の中で育ってきただけで、自らコミュニティを作ってきたわけではない。行政は、住居を提供するだけでなく、「社会(コミュニティ)」をも提供すべきであった。
 人は、人によって生かされている。それは裏返せば、人は、社会との関わりを無くしたとき、生きる力をも失うことを意味する。

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