庵主の日記

(2000/7/3〜2000/7/13)

 7/3 雪印乳業と参天製薬
 7/6 アジアの胎動
 7/7 事業部制がアダだって?
 7/11 低公害車の普及へ
 7/13 そごうの効能


 7/3 雪印乳業と参天製薬

 雪印乳業の加工乳で4000人近い人が中毒症状を発症しているが、この問題は、すでに先週末に被害が発生しているにもかかわらず、素早い対応をみせなかった。参天製薬のこともあって、いたずらではないかと疑ったのだろう。所轄の役所の方も、素早い反応を見せなかったようだ。記者会見でも、対応について会社のトップの判断が遅れたといっていたが、事前にこの種のテーマがリスク管理の対象に成っていなかったことを自ら白状したようなものである。この種の事態に対して、いちいち指示を仰がないと初期行動もとれないようでは情けない。
 図らずも、参天製薬の対応の素早さが際立ってしまったが、このときにでも、自社のリスク管理の実情を見直すぐらいの判断がトップにあるべきではないか。

庵主の日記の目次に戻る

 7/6 アジアの胎動

 アジアの経済が、1997年の金融危機から立ち直りつつある。少なくとも、世界の需要に対して供給体制を整えつつある。もっとも、まだまだ国内の体制整備が終わったわけではないようだ。韓国の財閥の問題は、少しづつ進展しているようだがまだくすぶっている。マレーシアの「MSC」計画も、人材の確保に失敗したようで、海外からの企業の進出が進んでいない。国内での技術教育の体制整備が遅れていることがここに来て問題となっている。
 それでも、技術面やコスト面で供給基地としての役割を支援すると思われるので、多少の波はあっても、今後もアジアの国々の経済成長は続いていくだろう。
 これって、80年代までの日本の役割ではなかったか

庵主の日記の目次に戻る

 7/7 事業部制がアダだって?

 雪印の社長が、今回の問題の根本原因はどこにあるのかという質問に対して、「事業部制が機能しなかった」と言った。だが事業部制が悪いのではない。自社の人材を見ずして、周りの真似をしたから起こったことである。そのような状態で事業部制を敷いたらである。単に利益を上げるために今回の様な手抜きが発生することは予想できなければ経営者とは言えない。リスク管理をかみ合わせてチェックのプロセスを強化しながら、人材の育成と強化を図ればよいのであって、体制に原因を押し付けるようでは、トップの能力が疑われる
 もっとも、今回、はからずも「リスク管理」が全く存在していないことが明らかになったのだが、このような状態の企業は、雪印だけではなかろう。

庵主の日記の目次に戻る

 7/11 低公害車の普及へ

 神奈川県が2001年度から自動車税を3段階に変更する。現行の自動車に対しては、税率を1.2倍に引き上げる一方で、ハイブリッド車やメタノール車などの特定の低公害車に対しては半分にし、NO2 対応などのその他の低公害車に対しては現行通りの税率とするという。
 今日の地球の温暖化の原因は、人為的なものであるという判断が、国連の方で為される動きがある。これまでも、その可能性は示唆されてきたし、先の京都会議は、その“可能性がある”という判断を受けて介さされたもので、今度は、“可能性”という言葉が外される方向で報告書が出そうである。
 そうなると、エネルギーの確保の方法全般を見直さなければならないが、自動車に対しては、直ぐにでも手を打つ必要があり、税制を変えてでも、ハイブリッド車やメタノール車、さらには燃料電池車などの低公害車を増やす方向に転換を計る必要がある。

庵主の日記の目次に戻る

 7/13 そごうの効能

 1民間企業に対する国の救済策への批判が強まる中で、興銀主導の再建計画は頓挫した。もともとそごうの巨額の有利子負債の背後には、興銀の存在が大きく働いてきた。水島前会長自身が、興銀出身であるということも作用していると思われるが、それにしても、1企業に対して3000億円もの融資は過剰であり、そこに“バンカー”としての判断が働いていたとは思えない
 しかも、興銀は、自らの債券を中小の金融機関向けに小口化し、自らのリスクを分散していた。それを買っていた金融機関も、「興銀だから」というだけで、正常な判断が働いたようには見えない
いづれにしても、旧長銀、旧日債銀のもつ不良債権の行き先は、これでほぼ決まったようだ。自主的に再建するしか道はないことが示された。少なくとも、今年に入って債権放棄が実現した中堅ゼネコンの現状は、何も進展していないのだから。

庵主の日記の目次に戻る