庵主の日記

(2000/2/28〜2000/3/8)

 2/28 不安をもたらさない規制緩和って?
 2/29 失ったサウジでの権益
 3/1 “閣議決定”はそんなに軽いのか?
 3/4 治安警察のなごり
 3/8 営団日比谷線の脱線衝突事故に思う


 2/28 不安をもたらさない規制緩和って?

 ここに来て、規制緩和の動きに大ブレーキがかかっている。タクシーの件は、すでに紹介したが、このほかにもいくつもあるようだ。自民党内に「日本経済を活性化し中小企業を育てる会」というのがあるようで、そこがブレーキをかけているようだ。
 規制緩和にブレーキをかけて、それでいて日本の経済を活性化させようというのは、過去の夢から目覚めない人たちの論理矛盾である。そんなのって、中央集権で社会主義化していくしかないだろう。選挙を前にして支持者からの強い圧力がありそうだ。

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 2/29 失ったサウジでの権益

 結局、アラビア石油のサウジでの採掘権を失った。後に残ったのは、サウジの日本に対する不信である。一部に報道されているように、最初に、鉄道を口に出したのが日本側だとしたら、日本側の責任と言うことになる。その他にも、交渉の窓口がアラビア石油なのか、日本政府なのか一貫していなかったようである。いつの間にか、社長が、通産省から天下っていたことも、混乱に輪をかけた。
 ただこの問題は、単にサウジでの権益を失ったというだけでは済まない。日本の交渉能力や外交上の基本姿勢までもが疑われる

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 3/1 “閣議決定”はそんなに軽いのか?

 酒の販売やタクシー料金の自由化などの規制緩和の方針は、たしか橋本内閣の時に「閣議決定」されたはず。もちろん、当時の与党はそれを支援していた。それを受けて法案化すべく準備してきたはず。それが、与党議員の当落に影響するとなった途端に、閣議決定を反古にしようというのである。会社の最高意思決定機関で決めたことが、営業の現場でやりにくいということで、決定方針をやり過ごして居るのと良く似ている。
 これでは、どんなことが「閣議決定」されても、実施までに時間を引き延ばせば、決定をひっくり返す事も出来ることになる。

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 3/4 治安警察のなごり

 1昨年辺りから、警察組織内の不祥事や操作上の不手際、操作の歪曲などが目に付くようになった。神奈川県警がそのやり玉に上げられていたわけだが、その間、他の警察本部は自らの行動を律することは出来なかった。そのため、“天”は新潟でまさに「芸術的な事件」を作ってしまった。首相において「運が悪かった」と、つい言わせてしまうほどの出来栄えである。
 戦後も一貫して「治安維持」を主たる職務としてきた日本の警察は、この「天の警告」をどう受け止めるか。マスコミは、警察は国民の生活を守るために一新すべきだという。だがその前に、日本国政府が国民の生命と財産を守るという約束を宣言しなければならない。そうでないかぎり、大蔵省も、国民が稼いだ金をドブに捨て続けることになる。

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 3/8 営団日比谷線の脱線衝突事故に思う

 “日常”の中でのこの種の事故は、そこに居合わせた人にとっては防ぎようが無いから悲しい。事故の原因は、このあと専門家の手で解明されるのを待つとして、部外者の立場で、かつ、“プロセス”を生業としている者として、リスク管理という観点からこの問題を見てみたい。
 営団の保守点検能力は高いと評価されている。だから点検の“手抜き”は無かったとしたら、問題は、点検項目やその方法の見直しが為されていたかどうかである。リスクの要因は「差」から見つけることが出来る。車両の種類や重さの差、あるいは保線工事の前と後とでの「何かの差」。それらが「脱線に繋がる要因」としてどれだけ考慮されてきたか。それに伴って、検査項目を見直してきたか。その辺りも興味がある。

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