庵主の日記2

2003年3月16日 日本は投資に適さない国か?

 日本の経済が一向に上向かないことにしびれを切らしたシティグループが、日本を投資に適さない国(要注意国)に指定したという。1年前に、小泉政権が成立したときの1万2千円からすでに30%以上も株価が下落している。米軍がイラクを攻撃しようものなら、7000円台だって危なくなる。消費は一向に回復しないし、日本の競争力も低下したままで、いつになればこの状態から抜けられるのか、全く見えない。政府のやっていることも、世界にはまったく理解されないほどのとんちんかんな施策である。

 規制の緩和で、積極的に外資を呼び込むでもないし、逆に円高を防止するためなら、ドル債をどんどん買えという。ドルをいくら持っていても、日本の国内では使えない。国民がいくら頑張って貿易黒字を積み上げても、貿易で稼いだドルをそのままにしていては、国民はいつまで経っても豊かになれない。

 貿易で稼いだドルを円に交換すれば円高になる。本来は、それで産業構造の転換を図るべきだったのだろうが、日本の中央官庁は産業構造の「現状維持」を選択した。いや、政治家がそれを望んだのかも知れない。その結果、必要以上のドルを抱え込み、結果的にアメリカ経済を支えることに協力しただけで、日本の産業構造の転換が遅れた。

 政治も機能停止に陥っており、来年度の予算の内容も旧態依然としていて、これまでと比べて変化の無いものとなっている。競争力が高まることを予感させる部分はない。もっとも大事な教育力も衰退している状況からは、日本が嘗てのように興隆を取り戻す姿を想像させるものはない。シティは、そう読んだのだろう。

 ちなみに、シティが同じように「要注意国」に指定されているのがアルゼンチンだそうだ。アルゼンチンの場合は経済よりも政情不安が大きな要因であるが、気になることろである。

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