庵主の日記2

2003年3月6日 またまた“徴税国家”へ
不況とデフレで国の税収が落ち込んでいる。来年度も回復する見通しがたたない。ということで財務省は、見境もなく税収の確保に走っている。その一つとしてNPOへの課税が俎上に上がっているが、これは見過ごせない。

 NPOが基本的にボランティア活動の組織である。ただし、全て「手弁当」と言うわけには行かないから寄付を募ったり、資金確保のための事業を抱えていることがある。また活動してくれる人に対しても、いつも「無償」と言うわけには行かないだろう。何らかの簡単な報酬あるいは食事代のような形で支払われることも考えられる。

 ここで、財団法人などの公益法人と同じに扱われてしまうと、経営(運営)が立ち行かなくなる危険がある。ただでさえ、日本では寄付が集まりにくく、これらのNPOも資金の確保に四苦八苦している。私の知人もNPOを運営しているが、資金確保のための活動で走り回っている。本来であれば、その時間はNPOの活動に回したいところで、明らかに余分な時間が取られている。

 資本主義社会においては貧富の差が発生するので、何らかの形で「富の再配分」の仕組みが必要である。その方法として「徴税」と「寄付」という2つの方法がある。「徴税」は、一旦財務省などに「税」として集まった資金のなかから「予算」の形で配分される、いわば「間接の再配分」であるのに対して、「寄付」は、国民が直接自分の判断で行う「直接の再配分」である。

 残念ながら日本の政府は、「寄付」による間接の富の再配分を嫌がっていて、とにかく役人が自分の手の中に資金を集めて、自分の手で、いかにも「私が配分してあげます」として配分したいのだろう。だが、間接配分は徴税コストに配分コストがかかる。その資金の流れるところで「生活」している人や組織が存在しているからだ。それに対して直接の配分は、ほとんどコストがかからない。100万円の寄付は、せいぜい「振込手数料」が引かれるぐらいで相手に届く。今回のNPOへの課税は、「寄付」という行為を無効にする危険がある。

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