庵主の日記2

2003年3月2日 3分の1が非正社員でいいのか

 新聞の報道によると、昨年10−12月の労働力調査で、雇用労働者に占める非正社員の数が1510万人、全体の30.5%に達したという。つまり、3人に1人が正社員ではなく、パート、アルバイト、契約社員、派遣社員ということだ。流通などの業種によっては既に50%を越えていると思われる。平均でも、おそらく数年のうちに40%を越えるだろう。

 企業がなぜ非正社員を増やしているのかというと、雇用のコストを引き下げたいのと、経営状況に応じて雇用を弾力的に調整できる方法を確保することが狙いである。労働基準法第20条が封印されているため、正社員では、いざというときに雇用を調整できない。もっとも、残したいのは、本当は非正社員の方にいるのかもしれない。それでも、正社員の方を残さざるをえないのである。ここにも労働基準法第20条封印が影響している。

 非正社員の比率が高くなると、業種によっては組織の運営に支障がでるだろう。業務内容に精通することが求められたり、複雑な作業の内容を継承しなければならないような場面では、非正社員ではスムースに行かないかも知れない。これは中長期の事業展望を考えたとき、間違いなくリスクの要因となる。

 プロセスの改善というのも、正社員のほうはやりやすい。第一「組織の能力」というとき、労働の継承が前提となっていて、非正社員が50%という状態ではやりにくいし、社内でのトレーニングも機能するかどうか。雇用調整が可能な正社員が想定できなければ、「組織の能力」を引上げるというのもイメージしにくい。

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