庵主の日記2

2003年2月11日 雪印食品に対する株主訴訟

 雪印食品は、BSE(狂牛病)対策に絡んだ牛肉偽装事件で会社が清算に追い込まれたが、その際の経営陣(13人)に対して、総額300億円の株主代表訴訟が起こされた。これは当然のことで、この種の訴訟は大いに起こされるべきである。

 日本の経営者の中には、「耳障りの悪い話しは持ってくるな」「そういうことはそっちで対応せよ」と言って憚らない経営者もいる。派閥を作って、その支持の力でトップにのし上がった経営者に多く見られる。そこには「コンプライアンス」という意識もないし、経営者としての「倫理観」も疑わしい。

 雪印食品の場合、会社自体が消滅したことで、株主にとっての損害が分かりやすかったが、一般には会社自体は残っている事が多い。ただ、事件の影響で株価は大きく下落したりして株主は大いに損害を被る。問題は、このような場合には損害額を算定しにくく、株主代表訴訟に持ち込みにくいようだ。

 だが、それでは日本の経営者のモラルは改善しない。やはり、株主に対する責任というものは、しっかりと果さなければならない。そのためには、もっと迅速に株主代表訴訟が処理されるようになることが欠かせない。ところが、政府(与党)は逆に株主代表訴訟に対して制限を加える方向で動いている。訴訟額の上限を低く押さえたり、手続き費用を上げたり、門前払いの基準を厳しくしようとしている。消費者よりも献金をしてくれる企業の方を守ろうというのだろう。

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