庵主の日記2

2003年2月2日 NTTに見るひとつの時代の終焉

 これまで「電話」といえば「固定電話」のことだった。だが携帯電話が普及し始めたことで、若い世代の間では「固定電話」を持つ人が減っている。考えてみれば、「固定電話」は持つ必要がないのかもしれない。確かに、電話を掛けるときは、ほとんどの場合、相手を特定して掛けている。だから、個人が電話を持ているのであれば、「家」には電話は要らない。中には、その家族の誰でも良いということもあるが、それでも、特定して掛けても構わないかもしれない。通常は携帯電話で済む状態で、何も「固定電話」を用意する必要はないだろう。

 最近になって「IP電話」が普及し始めている。ADSLやケーブルTV、光ファイバーなどによるインターネットが広がったことが背景にあるのだが、これだと通話料が非常に安い。同じプロバイダーの利用者間では、電話料金は無料というのもあるし、「IP電話」から通常の「固定電話」に掛ける場合でもほとんどが「市内料金」で済む。

 かつて「NTT」は日本の電話事業や通信事業を支えてきた。だが今日では、時代の風はNTTにとって逆風である。膨大な「電線」や「電話網」、あるいは交換機の設備は、今のNTTにとっては「重荷」でしかない。「固定電話」事業の展望が開けない状態で、これらの「重荷」を背負って行くことになるが、何れ、今のような「固定電話」は消えるだろう。ひとつの時代が終わるときが来る。

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