庵主の日記2

2003年2月1日 なぜ年齢制限が無くならないのか?

 失業率が6%に届く気配を見せる中で、ミスマッチによる「構造的・摩擦的失業率」も4.2%と高く、完全失業者の3/4にも達している。求人そのものは、2002年の中ごろから増えているようだが、ミスマッチが生じて雇用増に繋がらない。

 不況の中で、企業は「即戦力」を求めている。おそらく中小企業からの求人が多いものと思われる。ところが一方で「年齢制限」がつけられていて、40歳を超えると採用されにくくなっている。「即戦力」を求めながら「若い人」を要求しているのである。一体、そこで求めている「即戦力」とはどのような状態を差しているのだろうか。「若くして即戦力」という両方の要求を満たすとすれば、それは相当な能力の持ち主である。当然、そのような人は失業していない可能性が高く、「求人の網」にはかからない。

 なぜ、「年齢制限」がついているのか。なぜ40歳を超えると就職できないのか。最大の理由は賃金の問題だろう。日本では、これまで賃金は年齢に対応してきた。いわゆる「年齢給」である。だが、最近になって、この年齢給は30歳前後で廃止される傾向にある。つまり、仕事の種類に対して基本的な賃金が設定され、あとは成果で上乗せすることになる。こうなれば、「40歳」という年齢制限も意味を失うことになるだろう。

 もう一つのミスマッチは給与などの待遇面が合わないことにある。求人の主体が中小企業であることから、かつて大企業に勤務していた人にとっては、給与が大幅にダウンする可能性がある。これまで大企業は自分たちの利益を確保するために、下請けの中小企業に対して「乾いた雑巾」を絞るようにコストダウンを強いてきた。いま、その大企業からリストラされて、自分がかつてコストダウンを求めた中小企業に、新しい職を求めようとしているのである。考えてみれば皮肉なものだ。

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