庵主の日記2

2003年1月21日 預金金利も引き上げよ

 銀行が不良債権処理や引き当て不足に対応するために、貸し出し金利の引き上げに動いている。しかも取れるところからとるという姿勢である。確かに、今の金利水準の低さは異常だ。だが、公定歩合が依然として実質「ゼロ」金利のままなのに、銀行の貸し出し金利だけを引き上げるというのは、金融機関のエゴではないか。実際、不良債権処理前の状態では、数年前以上にしっかりと利益を稼いでいる。

 今、この状態で銀行がなすべきことは、資金の引上げでもないし、金利の引上げでもない。貸出先の経営を改善して債権の分類の段階を引き上げて、引き当て金の負担を減らすことである。それができない銀行というのは「銀行」ではなく、ただの「金貸し」に過ぎない。金利こそ違うものの、「町金」と同じではないか。

 日銀が、市中に流通する資金を潤沢にする目的で、銀行の保有する債券や株を買い取っても、その資金は、すぐに国債の購入という形で日銀に還流しているではないか。つまり、市中には資金は回らないのである。しかもただ日銀に還流しているだけではなく、銀行が積極的に国債を購入することで、長期の金利を限りなく引き下げる効果をもたらし、銀行としては、この金利差からも利ざやが稼げる状態にある。

 そのような中で、正常な貸し出し先に対する金利の引き上げを強引に迫っているのである。自ら改善すべきをほったらかしにしておいて、取れるところから取ろうというのだろう。これでは、自分たちの「銀行」としての事業の失敗のツケを、正常な貸し出し債権に求めているだけだといわれても反論できないだろう。

 預金者の立場から言えば、貸し出し金利を引き上げるのなら、預金者の利息もそれに見合うだけ引き上げるべきである。預金者の金利を「ナノ金利」の状態に放っておいて、貸し出し金利だけを引き上げるというのは、盗っ人たけだけしいのではないか。

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