庵主の日記2

2003年01月6日 新規参入の芽を塞いだ郵政省

 1月1日から、一部のコンビニに郵便ポストが設置されたようだ。私自身はまだ実際にこの目で見ていないが、TVのコマーシャルでそのことを知った。子供は、駅前の通りのコンビニに設置されているのを見ている。郵便局(集配局)がそこから30メートルの所にあるというのに。

 コンビニにポストを設置するというのは、先の郵政民営化の議論の中で、民間企業が提案した方法ではなかったかと思う。この時、郵政省側から出てきた参入条件は、「全国に1万箇所設置すべき」というもので、無理難題をふっかけた感があった。確かに、効率のいよい都市部だけ民間企業に持っていかれて、地方だけが残されたのでは郵政省としてもたまらない、という考え方もわかる。でも、宅配便でもわかるように、個人の配達を請け負えば、結局は全国ネットにするしかなくなる。都市部で受け付けた「依頼物(親書)」の中に、ポストを持たない地域への配達がたった1枚でもあれば、そこに配達しなければならないため、ある時間の中では、全国的にポストを設置することになる。だが郵政省の条件は、それを最初からやれ、ということだったと記憶している。

 今回、そのコンビニへのポストの設置を郵政省がやったということは、果して利用者の便宜を図ったことなのかどうか。私には、今のうちに新規参入の芽を摘んでおこうというのが狙いのように思える。その理由は、民間企業が新規参入する際にコンビニにポストを置くのと違って、郵政省が今以上にポストを増やしても、扱う郵便物が増えるわけではない。ポストが増えて便利になったからといって、手紙を書く回数が増えるとは思えない。結局、今まで、遠回りして、わざわざポストのあるところを通っていたのが、表の通りに出たところのコンビニのポストに投函するようになるだけである。確かに遠回りしないで済む分だけ利用者には便利だろう。

 だが良く考えてみると、例えば今まで3つのポストに100通投函されたのが、10個のポストに分散して投函されることになるため、郵便局としては郵便物の収集の効率が悪くなる。そのため、一定時間内に郵便物を回収するために、回収車を増やす方向に動くだろうからコストアップの要因にもなる。結局、まずはコンビニにポストを設置しておいて、その後で「便利を維持する」ためということで、郵便料金の値上げの口実を作るのが第2の狙いではないかと思っている。真偽の程は数年後には分かるだろう。

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