庵主の日記2

2003年01月04日 なぜDRAMで稼げなかったのか

 昨年の世界の半導体の売り上げ高が新聞に出ている。全体としては前年比1.4%増とわずかに増えたようだが、実際に増えたのDRAMだけで、あとは減少している。そのDRAMで稼いだのがサムスン電子である。DRAMは、かつて日本の半導体メーカーの独壇場だった。だが、技術革新への投資がかさんで儲からないとして、日本の半導体メーカーはDRAM撤退した。

 日本のメーカーがいなくなった土俵で、韓国のサムスン電子が稼いでいる。新技術への積極的な投資も怠っていないし必要な人材も集めていて、投資した分はしっかりと稼いでいるようだ。こうなると、かつての日本の半導体メーカーの「撤退」の判断は何だったのかと思いたくなる。あの時の、半導体メーカーのトップの判断は、「このままでは事業として成り立たない」というものだったと思うが、あの判断は間違っていたのだろうか。

 当時、国内の芽半導体メーカーが何社も乱立していて、規模のメリット活かせなかったものと思われる。だから「事業の継続」は困難と判断したのだろうが、「どうすれば儲かるか」という検討がなされたかどうか。本当に儲けようとすれば、他社を買収して規模のメリット出すしかなかったはすだが、その選択肢は最初から外されていたのではないか。つまり、最初から「成功するための方法」を考えたのではなく、その時点で「選択できる方法」しか考えていないのではないか。

 ようやく昨年になって、乱立を避けるべく国内の複数のメーカーが合弁で半導体事業を立ち上げたが、これも果して「成功するための方法」としての選択なのかどうか。日本としては半導体事業の全てから撤退するわけにいかない、なんとかして事業を残さなければならない、というところから「選択できる方法」として作られたのではないか、と思いたくなる。

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