庵主の日記2

2002年7月31日 2002年8月1日 投資家の立場にない東証

 東証が、上場審査基準を緩和して、赤字の企業でも一定の条件を満たせば上場できるようにしようとしている。株式市場が一向に活気づかないため、東証としても売り上げが上がらないのだろう。株式市場が活気づかないのは、上場企業の数(品数)が少ないからではない。企業の決算を信用できないからであり、証券会社系のアナリストのレポートが信用できないからである。証券仕様と証券会社全体が、一般投資家の立場を考えた仕組みなっていないからである。

 少し前のネット関連株での不祥事を反省したようにも見えない。証券会社は、雨後の筍のように出てきた企業の経営実態を把握していながら、自己売買であおり立てて売り逃げた。たしかに証券会社は、基本的には売買を仲することで営業しているので、売買が多い方が良いので、どうしても煽りたい気持ちもわかる。では証券取引所どっちに立っているのだろう。一般投資家の側にたって、市場の動きを監視しているのだろうか。

 東証の出資者を見れば、それはありえないことは直ぐに分かる。今回の基準の見直しも、彼らの売り上げを上げるための方策であって、日本の証券市場のあるべき姿を追いかけての対応ではない。私には、ペイオフ解禁に関連して右往左往する資金を、ここぞとばかりに網で掬おうという魂胆に見える。
 もし、市場のあるべき姿を追うのであれば、企業が黒字にならない根本の問題に踏み込まなければならないが、そこは相変わらず避けている。いや、根本の問題に気付いていないとすればもっと悪い。

庵主の日記の目次に戻る