庵主の日記2

2002年7月31日 曲解の極み

 普通預金のペイオフ解禁を半年後に控えて、中小の金融機関や政治家たちが動き回った結果、政府は、決済性預金は除外するという方針を打ち出した。これで来年4月から予定通りにペイオフを実施すると主張するのだろうが、国民を馬鹿扱いにすることに何の抵抗もないのか。

 確かに、ペイオフの実施を目前にして、この部分が一番問題だった。企業や大きな組織が毎月決済するための口座には億単位の残があるはずで。これをいちいち数10の口座に分散するわけにはいかない。だが、この口座をペイオフの対象外とするとなれば、全て、この口座に置いておけば良いことになる。この口座が無利息の口座になるとしても、どうせ今の普通預金の利息なんて保険料だと思えばどっちも同じだろう。
こんな例外を作るとなると、何のためにペイオフを実施するのかわからなくなるではないか。

 銀行が掛けている保険でカバーできない分は、いままでは国(日銀)が補填したが、いつまでもそんなルールを続けていくわけにはいかない、というのがペイオフの主旨だったはず。今回の案では、銀行の倒産時には、決済性預金といえども、1000万円を越える分は、いままで通りに国(日銀)が補填することになってしまう。銀行がこの口座の管理費を徴収するというのもおかしな話である。本来は、そのような口座にたいしては特別な保険を用意し、金額に応じて預金者(口座の所有者)が、自己責任で保険をかければよい。保険会社は、銀行の安全性を評価したうえで、金額に応じて保険料を決めればよいのだ。要するに国が補填することそのものが間違いなのである。

 本来は、経営に不安のある金融機関を早期に整理し、金融機関そのものがペイオフなんて気にしなくても良い状態にするのが目的だったのではないか。だが、今回の案では、そのような金融機関が淘汰されないことになる。これこそ本末転倒だ。
これでペイオフを実施したといっても世界の笑いものになってしまう。韓国で出来たことがどうして日本で出来ないのかと言われてしまう。結局、日本という国は、政治家(屋)を巻き込んで、大騒ぎしてゴネれば通るってことか。

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