庵主の日記2

2002年7月29日 右往左往する銀行預金

 定期預金のぺーオフが解禁され、銀行の定期預金から42兆円も普通預金に流れ込んだ。本来なら、株や土地や投資信託に流れるのだろうが、証券会社の普段の行いが悪いため、資金が行き場をなくしている。最近、投資目的のマンションの売り込み電話が増えてきたが、これも、行き場を無くした資金を当て込んでのことだろう。

 日本の信託会社の多くは証券会社の息がかかっていて、彼らは投資家の立場には立っていない。あくまでも株や証券を「売る側」に立っていて、一般の投資家から、如何にして儲けるかばかり考えている。かつて山一の倒産の時に懲りたはずなのに、最近になってまた一定期間で信託を移動させようとする昔の手法が姿を表している。

 大手の証券会社は、売買を繰返さないかぎり儲からない。自己売買は麻薬みたいなものだから、一般の投資家に、如何にして株や証券を売るかである。一般の投資家が儲かるかどうかは関係ない。目論見書に“結果の責任は負いません”と書いてある。堂々と、一般の投資家から儲ければ良いわけだ。彼らの方が多くの情報を持っているから、一般の投資家は敵うはずが無い。こうして気がついたら、またまた投資家が逃げてしまった。本来なら、ペイオフ解禁で、資金が投資信託や株式市場に流れ込んでくるはずだった。

 結局、行き場のない資金が、いまは普通預金の口座に溜まっていて、じっと様子を見ている。だが、来年には普通預金の口座もペイオブが解禁される。今回も整備を怠ってきた地方の金融機関が、社会的混乱を理由に解禁の延期を求めているが、これを認めれば、もはや政府の決定に対する信頼を失うだろう。

 では、普通預金のペイオフを解禁したらどうなるか、普通預金で待機していた資金が、安全な場所を求めて一斉に動き出す。一部は郵貯にも流れるだろうし、変な奴に騙される人も出てくるだろう。この機を逃すまいと、悪徳業者も手ぐすねを引いて待っているだろうから。

 ただ、個人で定期と普通で1000万円を越えている人は、それほど多くはないようで、少し口座を分散する程度で済むだろう。問題は、どの口座からどの口座に移動するかである。それによって金融機関自身が混乱するかもしれない。かつて、銀行は自民党への政治献金が一番多かった。今は良く知らないが、これを武器に政府に圧力をかけることも考えられる。結果は分からない。彼らの行動は、世界の中の日本のことなど考えてはいない。自分の銀行を守ることだけしか考えていない。だから危うい。

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