庵主の日記2

2002年7月20日 遅すぎる最低資本金の変更

 今、会社を作ろうとすれば、株式会社なら1000万円、有限会社であれば300万円という「最低資本金」が必要である。もともとは、このような制限はなかったが、暴力団絡みでトンネル会社が作られるのを防ぐ狙いから敷居を高くしたのであるが、実質的には、殆ど効果はなかっただろう。彼らが本気でトンネル会社を作る気なら、1000万円ぐらいどうにでもなる金額である。

 私の会社も、この法律のために、必要もないのに300万円から1000万円に資本の増強を求められたのである。ソフトウェアの開発といっても、分野や形態によっては、ちょっとした部屋(スペース)と高性能のパソコンがあれば事業は始められる。1000万円なんて必要ない。結果的に、資本の効率を悪くするだけだ。まるで、雑草を駆除するために蒔いた除草剤が、育って欲しい野菜の根も枯らしてしまったようなものだが、このことに気付くのが遅すぎた。

 しかも、設立後5年以内に1000万円に戻すことが条件だという。自分たちの政策を失敗だとは思っていないようだ。おそらく、政府の役人たちは、「資本金が大きくて、従業員が多い」会社が、優れた会社であるという発想から抜けていないのだろう。設立に1000万円を必要としない会社が、事業が軌道に乗ったからと言って、どうして増資しなければならないのか。設立時に資本を集めることができずに「融資」で会社を作ったのであれば、どこかで資本に転換することには意味があるが、それは法で強制されることではない。経営判断の問題だ。

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