庵主の日記2

2002年6月17日 属国の大臣

日本の政策は、いつも海外に向けて用意される。サミットや首脳の訪米の時期に合わせて用意される。今回も、カナダサミットに合わせて、「経済活性化策」をそくさくと取りまとめて、「献上」しに行った。日本の国民に説明する前に、なぜ、外国の首脳に説明しなければならないのか。オニール長官が、特に注文をつけなかったことで、「日本の政策は評価された」という発表を国内に向けて発信する。実に滑稽な姿である。まるで「属国」の役人の姿である。

バブル崩壊後、サミットや閣僚会議、首脳の訪米の度に、「今度は、ちゃんとやります」「今度の首相は前の首相と違います」と言い続けてきた。韓国は3年で回復させたのに、日本は10年以上かかっている。それだけ重症なのか? 97年の韓国は、まさに倒産の危機にあった。それと比べれば、貿易は黒字だし、国債の残高は大きいが海外に向けての借金はない。それどころか米国債を大量の持っている。当時の韓国の状況と比べても、重症とは思えない。つまり回復に10年もかかるはずはないのである。

それが10年かかっている理由は、ただ一つ、政府と官庁が一枚岩になっていないからである。官庁と一部の政治家が既得権益にしがみついて、政策の転換を阻んできたからである。そこに、メスを入れなければ、あと10年、こんなことを繰返すことになる。日本は、国も企業も「コーポレート・ガバナンス」が存在しない、それぞれが独自の意志決定権(能力とは別)を持った組織の集合体なのである。全体の責任者がいないのである。

すでに、アメリカの通商代表部の日本支部が閉鎖され、アメリカにとって、日本の重要性は低下している。そろそろ、事あるごとに繰返される「経済活性化策」など、誰も耳を貸さなくなるだろう。

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