庵主の日記2

2002年6月15日 回らない資金

日本の製造業を支えたものの一つに、高い金型技術がある。世界が真似の出来ない技術を持っている。そのお陰で、日本の自動車も競争力を得てきたのかもしれない。その金型メーカーの1社が、資金の不足から新規の投資ができない状態にある。ダイムラークライスラーのビジネスに応えるための数百億円の資金が調達できないという。不良債権に傷んだ地元の銀行はそれに応じることができない。だったら、他の銀行が手を貸せばよいのに、誰も応じようとしない。「縄張り」のようなものがあるのか、それとも、資本金の額に対して、融資額が大きすぎるのか、それとも、将来の利益を担保にして有志ができないのか。その結果、米国の資金の導入を検討しているという。これが成立すると、この会社の資本金の規模から考えても、早晩、経営権は移行するものと思われる。

日本には、1400兆円の資産があるという。みんな、郵貯や国債に流れている。本来なら、国内のこういった企業に資金が回らなければならない。それが資本主義経済のはず。銀行が本来の機能を果していないことで、日本の企業は機会を失い、市場を失っていく。ドラッカー氏は、生産性が低い企業・組織は、存在する合理性がないと言ったが、現状では、すでにその域を超えて、存在していること自体が「罪」である。

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