庵主の日記2

2001年9月2日 何をすれば良いのか分からない?

 7月の失業率として5%ということで、マスコミが大きく取り上げたが、9月の中間決算を契機に、さらに多くの失業者が出るはずである.連結決算によって、業績の低迷する関連会社や子会社の整理が進むからである.先に、大手電機メーカーのリストラが、「グループ全体」を対象とするかたちで発表されたのは、このことである.従業員を全員解雇するために会社を整理するという形をとるので、大量に失業者がでる.

 さて、解雇された人は、この後どうするか.今の時代、腕に自信のあるソフトウェア・エンジニアは、ほとんど心配ないだろう.少々高齢であっても、いざとなれば、「試用期間」ということでも、チャンスさえ得られれば、そこでアピールすればよい.ソフト会社は、優れたソフトウェア・エンジニアを求めているし、最近は年齢をあまり気にしなくなっている.能力を見極めようという考え方が広がっている.

 問題は、たとえソフトウェアの開発に関わっていたとしても、ソフトウェア・エンジニアとして自信をもって求職活動ができない人たちである.アピール出来るほどには、技術が高くなかったり、前の職場ではプロジェクト・マネージャーとしての役割を担ってきたが、気がついてみると、アピールできるようなマネージャーとしての明確なスキルは持っていない人は大変である.後者は、年齢も高くなっていると思われ、その分だけ再就職は難しくなる.ソフトウェアの世界に関係していない人たちは尚更である.

 当人は、そのことに気づいている.だが、再就職に向けて何をすれば良いのか分からない状態ではないだろうか.そんな状態でハローワークに足繁くかよっても、自分にアピールできるスキルがなければ、職は見つからないだろう.

 この人たちの多くは、自分から問題を見つけ出し、自分から解決方法を求めて動くことは少ない.進んで時代を見ての行動ではなく、業務として、その役に当たって始めて行動することが多い.日常的にも、自分の持ち時間の中で、学習テーマをもって取り組んで来た人は、もっと少ない.ただ、会社の「業務」として黙々とこなしてきた人たちである.つまり、必ずしも「知識労働者」のスタイルを持っていないのである.

 ここは、退職金をローンの返済に回すのではなく、1年ぐらい掛けて、テーマを挙げて研究するぐらいのほうが、新しい職に就ける可能性が高くなるのではないだろうか.

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