庵主の日記2

2001年8月30日 H2ーAがようやく上がった

 8月29日、H2−Aがようやく打ちが上げに成功した.もっとも、今回は本物の衛星を積んでいないようで、エンジンもフルパワーではなかったという。この状態では、やはり後2回連続して成功しないと信用されないだろう。もっとも、今回失敗していたら、明日は無かったのだから、チャンスは与えられたというところか。

 この問題は、庵主の日記の中でも何度も取り上げてきた。関係者の方が見れば気分を害するかもしれないが、携帯電話などのトラブルと違って、「日本の技術」にとって、大きな意味を持つと考えているので、どうしても書かずには済ませられない。そうでなければ、年間で5000億円にも満たない市場に、これだけのコストをかけて参入する意義はない。

 特に、今回は失敗からの学習技術が問われたわけだが、確実に失敗の原因が解明され、それに関連するプロセスが改善され、そのプロセスを維持するための仕組み(これもプロセス)が機能したのであれば、この後も、少なくとも数年間は連続して成功するはずである。
 ただ、打ち上げ時間の延期に繋がったトラブルは、専門家に言わせると非常にお粗末なものだというところが気掛かりであるし、冗長性の問題についても、きちんと検討されたものかどうか。本当に「全体」を見直したのか、トラブルの問題だけに対応してきたのではないのか、というところが知りたい。

 願わくは、NASAのように、今回の一連のトラブルの説明やその原因分析、さらには、今日までの対応について詳細を公開して欲しいものである。税金を使っているのだから、これは当然の義務でもあろう。それが出来たとき、隠蔽体質が壊され、オープンに議論が出来るようになったといえる。

 「人は間違いを犯すものである」 失敗を個人の所為にするのではなく、そこから皆で学ぼうということで、文部科学省の中で「失敗知識活用研究会」というものが昨年の8月から活動を続けてきた。今年の8月10日に報告書が出ているが、5月の第7回会合では、このH2−Aの失敗事例も議論の俎上に上がっている。ただし、議事の要旨は2回までの分しか公開されていない。

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