庵主の日記2

2001年8月15日 何も解決しない靖国問題

 今年の靖国神社問題は、小泉首相が、13日に靖国神社に参拝するという形で終わった.参院選までは、「絶対に15日に参拝する」ということで強気だったが、いざ参拝となれば、アジアの国々の反発は想像以上に強いことが分かったのだろう.というより、今ごろ分かったのかと言いたい.1国会議員であれば、何時参拝しようとも、それほど問題にはならない.だが、一国の首相ともなれば、そうは行かない.総裁に立候補したときにも、「熟慮」の結果、国民を味方に付けることによって、総裁に成れる可能性があると見たから立候補したのだろうから、最初から、考えて公言する必要があったのだ.
 つまり、この問題の主導権は、何代か前の首相の行動によって、既に日本の首相にあるのではなく、ほとんど中国にあることを認識していなかったのだろうか.もちろん、今回も、そのことを再認識させられたし、さらに云えば、これで15日の首相参拝は無くなったことになる.今のままの「靖国」では、姑息な対応しかできなくなった.実に情けないことである.
 我が国政府は、日中国交回復以来、この問題を放置してきた.中国との国交回復は、戦争の責任を「日本国」から「A級戦犯」にすり替えることで実現したのである.したがって、「A級戦犯」を靖国神社に合祀した時点で、この問題が表面化することは分かっていたはずだ.いくら「契約」を「方便」程度にしか考えていないのかもしれないが、これは通らない.それ以来、「8月15日」の靖国神社への首相の参拝は、年中行事のように騒動になる.だが15日を過ぎてしまえば、そのまま翌年の8月15日まで何も対応されないということが繰り返されてきたのである.
 「A級戦犯」を分祀するなり、国立墓地の形にするなり、何か方法を考えるべきである.現状のままでは、何も解決しないし、アジアの国々が経済力をつける過程で、この問題で日本がアジアの中で孤立する可能性がある.当然、今後のアジアでの経済活動にも、大きな支障を来す.それは、若い世代の活躍の場を、大きく狭めることにもなる.
 おそらく今回も、15日以後、この問題は取り上げられることなく、来年を迎えるのだろうが、いつまで先送りすれば気が済むのだろうか.政府・国会が自ら動かない限り、この問題は何も解決しない.それとも、「遺族会」という大票田に支えられた今の自民党政権では、誰も手も触れることは出来ないということか.遺族の方達も、今のような歪な形での“参拝”を望んでいるのだろうか.もしかするとこの問題の解決は、「遺族会」が握っているのかもしれない.

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