庵主の日記2

2001年8月13日 省益の代表に成り下がった閣僚

 小泉内閣は「構造改革内閣」として誕生したはず.そして先日、石原担当大臣から、「改革」の内容が公開され、それぞれの省庁に示された.このときの基本方針は、解散か民営化の何れかのはず.だが、各省庁から出てきたのは、「存続」の意見書であった.自ら進んで、解散や民営化の方向を示したものは皆無ではないか.さすがに石油公団の場合は、「存続」の旗を揚げるには分が悪いのか、形を変えて存続させようという魂胆らしい.
 しかも、驚いたのは、閣僚が「存続」の方向で作業を進めていることである.産業経済省や国土交通省の大臣は、明らかに首相方針と異なる行動を繰り広げている.会社で云えば、事業部長が、社内改革を謳っている社長の方針とは別に、勝手に従来通りの経営方針で進めているようなものである.政治は企業とは違うと云っても、これでは改革が実現するはずがない.
 今の内閣は、何人かの閣僚につては、首相とは別の所から意思決定の力が働いている.省益を優先することで、借りを返す必要もあるだろう.所属する派閥の事情からも、深く関係する省庁に対して、「解散」や「民営化」を迫ることは出来ないのだろう.その証拠に、閣僚の中で、自由に「改革」路線にそって行動しているのは、民間の閣僚であったり、解散や民営化の影響を受ける企業の支援を持たず、派閥に属さないでも当選してきた閣僚だけである.そんな閣僚は、いったい何人居るか.少なくとも、自民党の多くの議員は、出身省庁や関係業界の支援を受けて当選している.そんな彼らが、出身省庁や支援業界(団体)の組織に対して、「改革」を迫ることが出来るとは思えない.したがって、自民党内閣では、本当の意味での「構造改革」は実現しないんどえある.大橋巨泉氏が立候補の弁で触れたのは、このことではなかったのか.

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