時間軸で表現する
此処までのところで、抽象作業や実作業が把握され、更には実作業に対して「作業時間」が割り出されています。また、作業の相互関係も示されているでしょう。これらは、一つの「表」となって作られているものと思われます。
これらのデータを元にして、いよいよ「カレンダー」にはめていくことになりますが、そこで最初の要求仕様とところで、「最終納期」や「途中のマイルストーン」が指定されていたことを思いだして下さい。もしかしたら担当の分割した時点で、担当者用の納期が設定されているかもしれません。あるいは、途中でデモの実施も要求されているかもしれません。
何人かで取り組むプロジェクトの場合、概スケジュールは既に用意されているので、ここでは各担当者の分担分に対して個々に詳細なスケジュールを作ることになります。勿論、その際には「概スケジュール」を意識してカレンダーにはめていきます。
担当者の詳細スケジュールは、その担当者が考えることが必要です。人からあてがわれたスケジュールでは、そこで何がイメージされたか分かりません。自分でイメージしてこそ、作業も進むのです。初めてスケジュールを書くという人でも、必ず自分で考えて下さい。人の書いたものを参考にするのは構いませんが、それを見ながらでもいいから、自分で書くことです。
そうして作られた最初のスケジュールは、おそらく「概スケジュール」に収まらないことが予想されます。それは「必要な作業」を積み重ねただけだからです。でも、これはある意味ではやむを得ないでしょう。そして、実際には、時間軸に並べる作業よりも、この後の調整作業の方が難しいかもしれません。
人は、困らないと新しいことを考えないものです。そういう意味では、最初から概スケジュールを制限しておく方法もありますが、何れにしろ、ここで自分のスケジュールの元になった「作業」を見直すことになります。
想定されている作業を見直すポイントは、
・本当に必要な作業か?
・このやり方しかないのか?
という観点から見直して下さい。
本当に必要な作業かというのは、
1)その作業は1から10まで、ここでやらなければならないのか?
2)過去の資産(遺産?)を利用できないのか?
3)不必要に作業を作り出していないか?
また、このやり方しかないのかというのは、
1)前後の作業と合わせて、トータルで時間を縮める方法はないか?
2)自分がやるしかない作業なのか?
という問い掛けになります。
こうして、出来るだけ「概スケジュール」に合わせてみて下さい。ただし、チームでのプロジェクトの場合は、この後に、メンバー間での調整も可能ですので、此処での調整行為に余り多くの時間を掛けることは得策ではありません。
「部分で最善を尽くしても、トータルでは必ずしも最善とは限らない」ことを良く認識しておいて下さい。勿論、部分においてはある程度のレベルまで最善(次善?)を考える必要がありますが、顧客に約束しているのは、「トータル」であることを忘れると、いいスケジュールが作れません。