遅れを量的に把握する

 時間単位で書かれた詳細なスケジュールがあれば、遅延が何日なのか、いや何時間なのかを容易に把握することが出来ます。これまで述べてきたスケジュール管理は、ある意味では遅延を定量的に把握することを目指したもので、しかも上手く運用すれば1日単位、あるいは時間単位で遅延を認識することが出来ます。

 すでに別のところでも述べたように、進捗会議で「遅れ気味です」という応答は、適切な行動を呼び起こしません。何の作業が遅れているのか。その作業は何日(何時間)必要とする作業なのか。それらが明白になってはじめて応援の方法を考えたり、顧客との交渉に臨めるのです。遅れを量的に把握できない状態では、せいぜい“頑張って”というぐらいです。だが“頑張って”出来るぐらいなら、こうして遅れ気味にはならないのです。

 遅れを「量」的に把握するためには、そこに書かれている詳細スケジュール自体が、時間で記述されていなければなりません。

 しかしながら、ここでもう一つ判断しなければならないのは、遅れが増加する傾向にあるのか、縮小する傾向にあるのかという遅れの性質です。そしてこのような状態を加味したうえで、合計3日の遅れをどのように判断するかです。

 たとえばチームが疲れ始めている状態の3日の遅れの場合、来週には遅延の幅が増加する可能性があります。逆に、メンバーのスキルが向上してきたことで雰囲気が良くなってきた状態ならば、来週には遅延は解消するかも知れません。

 これらのことを考慮に入れた上で、全体スケジュールに影響するかどうか判断しなければならないのですが、その前段階として遅れを「量」的に把握することが欠かせません。


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