予定外の作業への対応
スケジュールを書いた後に遭遇することは、予定外の作業が飛び込んでくることです。しかしながら問題は、この「予定外」の意味です。勿論、このスケジュールを立てた当人にとっては、予定していた作業以外は全て「予定外」であるのでしょうが、この「事実」をそのまま受け入れてしまったのでは何も変わりません。
何度も言うように、人は誰でも自分が“分かったと思う範囲”でしか考えることは出来ません。その「範囲」が狭いものであろうと、十分広いものであろうと、本人はその境界を知る方法を持ちません。
したがってこの場合、唯一自分の“分かった範囲(=分からなかった範囲)”を自分で知ることが出来るのは、「予定外」の作業として現れた「症状」によってだけです。一言でいえば、そうして現れたものは「全て」分からなかった範囲に属するものです。もちろん、現実には“分かろうとしなかった”範囲も含まれています。そして問題は、この後者なのです。
人間ですから、そのときの状況によって、どうしても何割かは“分かろうとしなかった範囲”が含まれてしまうでしょう。でも、その割合を減らしていかない限り、いつまで経っても「約束」できる状態には至りません。
予定外の作業が「訪れた」ときは、それは殆どの場合その人にとって「必要」なものです。必要であったが、そのことに気付かなかったものです。或いは、以前にきちんと片付けなかったために、今ごろになって舞い戻ってきた作業もあるでしょう。既に終わったはずの製品のバグなどは、その最たるものです。また、「雑用」という意識も、時として「雑な対応」をしてしまうため、後になって戻ってくることがあります。
したがって、その場はこれらに応対せざるを得ませんが、当然、“当初の予定”は狂ってしまいます。だからと言って、単純に当初の予定を後ろにずらしたのでは、“分かった範囲”を広げたことにならないことに気付くべきです。この種の取り組みに挑戦したことがある人の殆どが、実はこの「壁」を越えられずに後退りしてしまうのです。
もちろん、1日の遅れを、次の1日で取り返すことは出来ないでしょうが、次の1週間で取り返すことはできるかも知れません。あるいは、来週以降の作業を見直すことで、今まで考えていた段取りとは違うやりかたに気付くかも知れません。その結果、3日も短い日数で終わる方法を手に入れることもあるのです。
単純に「不可抗力」として思考を停止させた状態からは、このようなアイデアは浮かんで来ないでしょう。
このとき重要なのは「約束に対する強い意志」かも知れません。これぐらいのことで約束を崩したくないという気持ち、何処かで取り返す方法はないかという気持ちが、「不可抗力」に対抗する力を湧きださせるのです。
「予定外」の作業は、見方によれば、考えるキッカケをもたらしてくれるのです。かといって、やたらと飛び込まれても困るのですが、そのためにも、最初にどれだけ広い範囲に考えを及ぼしたかが問われるのです。
くれぐれも「予定外」に思考を停止させないようにして下さい。