3日以上の作業を潰す

 「基本設計に3日」となど書かれているのをよく目にします。果たして、「3日間」も“同じ”作業を続けるのでしょうか。これが「概スケジュール」に書かれているものなら問題はないのですが、「詳細スケジュール表」に書かれているのなら問題です。

 たとえば製造ラインで、ある人の作業日程の欄に「ネジ止め作業3日」と書かれている場合、誰も疑問に感じないでしょう。その人は、実際に「ネジ止め」という作業(=実作業)を3日間続けるでしょう(しんどいな)。「ネジ止め」以外の作業は、そこには存在していないのです。-

 これに対して「基本設計」という“実作業”は存在しないのです。「基本設計」という作業名は、幾つもの“実作業”の集合名称(私はこれを“抽象作業”と呼ぶ)なのです。

 作業を“抽象作業”で捉えているかぎり、間違いなく曖昧さが潜り込んでしまいます。私の方法で10年もやっているのならまだしも、そうでない人は、“抽象作業”で正確な工数を読むことは困難なのです。

 この“抽象作業”を構成する“実作業”を見付けることです。そうすれば、「3日」も同じ作業が続くことはありません。そして、その“実作業”の単位では、より正確に作業の「量」が見積もれるはずです。

 要するに、詳細スケジュールに於て、一般に3日以上「同じ作業」が続くような場合は要注意なのです。それは3日の工数を精確に予測するには、相当の熟達が求められるからです。多くの場合、3日間の作業の「量」が正しく見積もられないまま、“これくらいで何とかなるだろう”という希望的観測でスケジュールが立てられているものです。いや、詳細スケジューリングに取り組んで間の無い人の場合は、「1日」でも危険かも知れません。

 残念ながら、“何とかなるだろう”は、現実には“何ともならない”のです。その日数で終わるという裏付けのないスケジュールは、原則として立ててはならないのです。ただし、ある時点ではどうしても「裏付け」が得られない場合がありますが、その場合も、速やかに裏付けを得るための作業を設定して、曖昧なままその作業に着手することは避けなければなりません。

 注意して欲しいことは、その場合でも、全てが分からないのではなく、その中の1部の作業が曖昧なだけであるということです。しばしば、これを錯覚して、その中の“たった一つ”のことで、全てを放棄してしまうことがあります。要注意!


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