スケジュールの調整
チームで作業を行う場合、一人ひとりで別々にスケジュールを考えられても困ります。お互いに、良く似た作業を想定しているかも知れませんし、逆にチームとして必要な作業を誰も考えていないかも知れません。また、成果物が交換されるような場面で、相互の作業の順序が逆になっているかも知れません。
当人にとっては、作業の順序が前後入れ替わっても、作業の「総量」は変わらないのですがが、「連携」が悪いと、「終わりの時間」が確実に後ろに延びてしまいます。つまり、そこに「待ち時間」という隙間が入ってくるのです。この結果、その場になって「暫定作業」が組み込まれたりして、確実にリワークになります。
スケジュールの調整には以下のように2、ないし3段階想定できます。
1)メンバー間のスケジュールの調整
2)概スケジュールの調整
3)各自のスケジュールそのものの再調整
チームの場合、先ずはメンバー間のスケジュールの調整を行って下さい。チェックポイントとしては、以下のようなことが考えられます。
・お互いに類似の作業が想定されていないか?
・メンバー間で交換される成果物のタイミングが適切か?
・欠落している作業はないか?
中には最初から概スケジュールを外しているものもあるかも知れませんが、この段階まで来たら、先ずはメンバー間で調整してみて下さい。その過程で、新しいアイデアが考えられるかも知れませんし、類似の作業が発見されるかも知れません。
それでも、「概スケジュール」を外してしまうようでしたら、今度は以下のポイントで検討し直して下さい。
・分担の一部を再配分する必要は?
・分担そのものがその人に適切ではなかったのか?
・取り掛かりの時期を早める方法はあるか?
・新たなスタッフの投入が必要か?(但し予算内で)
それでも、概スケジュールを満たせないようでしたら、改めて顧客や依頼主に交渉することになります。このとき、
・何が満たせないのか(満たせない成果物=製品の種類)
・どれだけ満たせないのか(日程的にどれぐらい遅れるのか)
・概スケジュールをどうすれば満たせるのか(解決のための対案)
を持って交渉することになります。このとき、「対案」を用意することが、交渉を有利に運ぶ一つの方歩です。「対案」を持つには、最初の要求仕様を良く読んで、交渉の余地のあるポイントを探します。そして、此処まで考えてきたスケジュールから、自分たちとして「可能な線」を想定します。何れにしろ、ここまで詳細なスケジュールが検討されていないと、「対案」は出せないでしょう。
そのため、現実には殆どの交渉の場面で交わされる言葉は、「この納期、もうちょっと何とかなりませんか?」というものです。もし、私が発注者なら、この“もうちょっと”という言葉に対して、鋭く切り込んでいるでしょう。
もう一つのケースとして、概スケジュールに対して概ねミート出来そうだけど、一部のメンバーのスケジュールがどうしても外してしまう様な場合で、改良の余地があると見なされる場合は、その人のスケジュールをもう一度見直すことになります。
このとき、ポイントは当人だけにしないことです。それは「分かる」の項でもふれていますが、既に当人としては「分かる」の限界に居る可能性があるからです。このような状態で一人にしても、新しいアイデアは簡単には出てこないでしょう。したがって、此処はリーダーか、それに準ずる人を交えて、お互いに話をしながら新しい方法を考えることが必要です。
何れにしろ、「約束」が根底にある以上、スケジュールは「命」です。