本当に上手くいくの?
この種の方法で誰でも簡単に上手くいく方法はありません。特に、「プロセスの改善」というのは習慣に関わるだけに、胃薬のように飲めば直に効くようなものではありません。ただ、はっきりしていることは、この考え方を使って上手くやる組織が既に存在しているということです。したがって、出来ないとすれば「やり方の問題」だということです。さらに、間もなく、これによって新たな「不退転の市場の要請」が発せられるということです。
CMMは、これまでのプロジェクト管理などと違って、取り組みの順序関係を明らかにしています。その取り組みをする前に、予め身に付けておかなければならないスキルや手順などを明らかにしていますので、期待したように事が運んでいないときには、このCMMに戻って、何が悪かったのか検証することができます。
大事なことは、この種の取り組みは、自分たちの習慣を変えることだという認識をもって臨むことです。ソフトウェアの開発として正しい事をやっているのに、何時もリワークや大量のバグで悩まされるということは無いということを認識する必要があります。そこで行なわれているプロセスが不適切だから、そのような結果がでているのです。もちろん、「適切なプロセス」には「幅」があります。組織の規模や歴史、要員の構成や分野などによって適切なプロセスには幅があります。
今、そこで行なわれている「プロセス」が適切なものであるかどうかは、正式にはアセスメントという手続きで判定するのですが、もっと簡単に判断することができます。それは、納期やコスト、性能などの約束を守れているかどうかです。具体的に言えば「5%」の誤差の範囲に収まっているかと言うことです。そして、そこで働くエンジニアやマネージャーたちが、そのために必要以上に疲弊していないかどうかです。これらの点で問題があるとすれば、原因は「プロセス」にあるか、もっと根本的に、そのようなソフトウェアを開発出来る状況に無い組織であるかです。もちろん、後者の場合は、CMMも出番はないと思われます。
要するに今までの習慣を捨てる覚悟で取り組まないかぎり、プロセスの改善は手に入らないということです。
何をしなければならないかは分かっていたはずなのに、既得権(習慣)との調整がつかずに対応が先送りされ続けてきた結果が、今日の日本の状態だということを考えると、この問題は根は深いのかも知れませんが、何時までもそんなことを言っておれる状態ではありません。