内作している関係で、製品仕様書が出るのが遅れてしまう。それでもCMMに取り組めますか?
まず、製品仕様書が遅れる理由を考えて下さい。殆どのケースで、スタッフの強化を怠っているものと思われます。どうしても、ソフトウェアの開発部門が最優先されているため、製品仕様書を書く作業が、一人に任されていたりします。たぶん、その人の役割は、製品仕様書を書くだけということになっているため、多くのスタッフを割当てることが出来ないのでしょう。新しい機能や、複雑な機能が盛り込まれる可能性があるのなら、早い段階から、組織化して、知識や技術の習得に着手しておくべきでしょう。また、そのようなスタッフの出番は、新しい技術の先導役であったり、テスト計画のところでも考えられますので、決して、無駄にはならないはずです。
そのような組織上の改善が実現するまでは、製品仕様書が遅れてしまうと言う問題は残っていまいます。そこで、製品仕様書とは別に、要求仕様書を先に作ってしまう方法があります。特に、派生モデルの開発では、この方法が効果を発揮します。
開発者の作業は、要求仕様書に基づいて行なわれますので、製品仕様書の完成が遅れても、直接の影響は受けなくなります。また、要求仕様書は、企画者の持っているアイデアを元に、設計者が作ることによって、複数人を充てることも可能になり、さらに、設計の予行演習の役目も果します。出来上がった要求仕様書は、企画者との間で内容の調整を行うことで、企画担当にとっても、製品仕様書を書くための材料が手に入ることもあります。
もちろん、こうして書かれた要求仕様書は、機能的にも欠落している部分があり、製品仕様の作業が進む中で、仕様の追加や変更が生じてきます。その時、CMMでいう「要求管理」(+「201の鉄則」のアイデア)を取り入れていることで、それらの変更を受け入れる環境が整っているはずです。