下手に上司がCMMの導入を強行すると、担当が困る。
これも良くあるパターンです。
開発組織の問題を常に意識して、解決方法を探そうという姿勢を持っている管理者は、貴重な存在ではあります。これの逆を考えてみてください。その方が多くのエンジニアは困るはずです。
この場合、問題はCMMそのものではなく、導入の方法であり、取り組みの方針です。CMMに取り組むということが、どういう意味を持っているのかということを正しく認識し、その上で、組織の状況に応じた取り組みの手順を考える必要があります。
まず認識しておかなければならないことは、CMMに取り組むということは、「習慣の変化」を伴うことだということです。もちろん、このことはCMMに限りません。プロジェクト管理などの取り組みは、本来は同じように習慣の変化を伴うもので、失敗の原因も殆どは習慣の壁に阻まれているのです。「標準化」という取り組みも、基本的には同じ範疇にはいるものです。習慣の変化を求めずに取り組んだとき、ある時間の中で元(の習慣)に戻るのです。そうでなければ、習慣の変化を伴わずに「行為」の変化だけをもとめる教条主義的に陥る危険があります。
もう一つの問題は、CMMの導入によって担当者の作業が増えるという間違った認識です。少なくとも、当事者にとって見れば、現状の見通しも付かない混乱した作業の上に、さらに「管理の為の作業」が増えると思ってしまうことから来る抵抗感です。実際、これまで何度かのこの種の「取り組み」で成功しなかった経験が、反射的にそのような認識をもたらしているのです。
もちろん、これも習慣を変えることを想定していないために生じる抵抗感です。なぜ、このようなことになるのかは「作業が多すぎて・・・」の項で説明します。