プロジェクトの途中で、とてもそのような取り組みを入れることは出来ない。


 既に別の項で触れたように、どうしても「このプロジェクトが終わってから」とか「次のプロジェクトから」という判断がなされてしまいますが、ここは、良く考えなければなりません。

 今、流れているプロジェクトに対して、この種の取り組みが入らないということは、そこで行なわれていることが、CMMと大きく懸け離れているということです。まともな設計書も書かずに実装作業に入っているため、今更設計書を書くように求められても困るわけです。各自の詳細なスケジュール(マイルストーンに対する約束の裏付け)など書いたこともないのに、急に書けと言われても、出来る相談ではありません。

 ただし、本来、行なわれるべき行為(プロセス)が省かれていることで、確実にそれに起因する不具合やバグが発生します。そのとき、多くの時間が投入されることになることは、承知していなければなりません。実際、何度も、そのような結果を出しているではありませんか。それは偶然ですか? 今回のプロジェクトに限られたことですか?

 プロジェクトの途中で、残された時間によっては、将来発生するトラブルやロスを完全には取り返せないかも知れませんが、それ以上、失うことを避けることはできます。というより、そのような姿勢に転換しないかぎり、このプロジェクトの関係者は救われないことになります。その結果、次のプロジェクトで取り組むチャンスも失われるのです。

 従って、プロジェクトの途中からでも、CMMの「Action」で提示されている項目の中でやれることを探しすことです。もちろん、全ての「Action」は、間違いなくそのための「時間」を要求しますので、その時間を後工程の中から先取りできることを見通せることが重要になります。今まで、バラバラの作業をやっている組織であれば、そこで行なわれている工程を、適切な内容で構成される成果物で繋いで組み直すことで、先に使った時間に見あう時間が浮いてくるものです。というより、そのようにして作業を組み直すことが必要になります。

 実際には、これが出来た組織だけが、次のプロジェクトの最初から取り組むことができるのです。