やることがいっぱいある。何からやればいいか?


 まず、自分たちの組織の状態を見極め、組織のレベルに不釣り合いな取り組みを後に回します。例えばレビューを充実させようという取り組みなどは注意が必要です。

 次に、「やろうとしている」行為が、CMMで提案している活動と一致または対応しているか、確かめてみてください。

 多くの間違いは、取り組みを「自分の経験の中」から探しだしていることです。その人が、すでに「うまいやり方で仕事をする」レベルにある人なら、その人の「経験」から出てくるものは有効なものである可能性がありますが、実際に、そうでなければ、その人の「経験」から有効な方法や取り組みが「生み出される」可能性は低いといわざるを得ません。現状を変えたいのであれば、CMMの原典に戻ることです。

 ところで、取り組みはできるだけ「上流工程」から変えていくことです。上流をそのままにして効果の上がる取り組みは殆どありません。要求仕様を出来るだけ早くまとめることを放置して、設計工程やテストの工程を充実させても効果は上がりません。

取り組みは工程ごとに異なることがあります。もし、“いっぱいある”と感じているのでしたら、それを書きだしてみてください。そして、工程に割り当ててみてください。そうすれば整理がつくでしょう。

 また、それぞれの取り組みが「作業の流れ」の中で、繋がりを持っていることが望ましいです。要求に番号を付けるという取り組みが、それだけで終わるのではなく、設計書やソースコード、さらにテスト仕様書にも引き付かれていくことによって、効果を確実にしてくれます。

 最後に、一度に多くの成果を得ようとしないことです。特に、初めて取り組む組織では、2合目から3合目あたりを狙うのがいいでしょう。

 何よりも「文化」や「習慣」を変えることの“実感”を体験することが重要です。そして1歩でも前に進むこと、いや、自分たちにそれが出来るという自信を手に入れることが重要です。