IBMが7万円で落札

 奈良県警の情報通信システムを、IBMが7万円で落札したという。このシステムは、Yahooニュースによると「拾得物や家出人などの情報について、県警本部と各警察署、交番をオンライン」システムだという。いくら「開発済みのシステムを転用できるため低価格で開発を請け負える」とはいえ、非常識すぎるし、このニュースが事実であるとすれば、悲しいことだ。

 (http://news.yahoo.co.jp/headlines/dom/mai/2506250000.maidom005.html)

 既存のシステムを“そのまま”転用できるとしても、インストールから運用テストまで含まれるだろうから、人件費や転用コストを考えれば7万円では原価が合わない。実際に、この種のシステムでは、既存システムを何も手を付けずにそのまま転用できることはない。相当部分を転用できるとしても、数100万円にはなるだろう。

 しかも奈良県警の説明では「積算根拠についての説明は妥当と判断した」というから2度驚かされる。7万円が妥当と判断されるような積算根拠を見てみたい。IBM側の積算根拠が素晴らしいのか、その裏に「隠れた根拠」があるのか。昨今では、警察署といっても、職員の水増しをやっている時代だから、そこいらの税金逃れをする邪な企業と変わらないといえばそれまでだが、法と秩序の番人であるべきであるということを考えると、この国の将来が暗くなる。

 これからの企業の経営者は、「顧客満足」と「株主満足」の両方を満たさなければならない。今回の7万円の落札は、「顧客満足」を満たしたのかも知れないが、一方の「株主満足」が満たされたとは考えにくい。もし、これが満たされているとすれば、裏取引が存在していることになる。このあと、各地の警察署が同じシステムを導入するという約束があるとか、警察署管内の別の事業体のシステムが落札できるといった、「何か」がないと、会社に「損」をもたらすことになる。
 

 経営環境の変化に伴って、接待文化が廃止の方向で見直されている中で、相変わらず胡散臭い商売が続けられているようだ。


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