『SCだより』の案内 『SCだより』は、開発コンサルティングを開始して間もなく、ソフトウェア・エンジニアやその組織の人たちの意識の啓蒙を目的として、月に1回のペースで発行してきたものです。
多くのソフトウェア・エンジニアと呼ばれる人たちは、1日中コンピュータと向き合っており、プログラム以外のことを考えることもないと言う状況すら見掛けます。その結果として、いわゆる「市民」として、あるいは「社会人」としての視線を失いかねませんし、それでは人として余りにも偏ってしまいます。(もちろん、私も超スペシャリストの存在を認めますが、スペシャリストと言えども、ある程度のバランスで社会性を持つべきでしょう。)「良きプログラムは良き人から産み出される」
これは私の信条ですが、この観点からも、現実は大きく外れてしまうことになります。また、このような状況では、ソフトウェア・エンジニア出身の優れた管理者や経営者が生まれる可能性が乏しいことも看過することが出来ません。
かと言って、現実問題として彼らに直に本を読んだり考える時間を作ることは難しいでしょうから、せめて月に1回ぐらいでも、直接仕事に関係する情報の外に、一人の市民として考える「ネタ」を提供できればとの思いから発行に至ったものです。
このような次第で、『SCだより』の1面はソフトウェア開発の仕事に関係する情報を、また、2面は仕事からはちょっと離れたテーマを扱っています。 この『SCだより』が、少しでも皆さんのお役に立てば、これ以上の喜びはありません。
なお、参考までに2面に連載している「暁鐘の音」の“暁鐘(ぎょうしょう)”の由来は、王陽明の以下の詩から採っております。この詩に出会ったとき、私自身もまさに“四十余年”でした。そしてこの詩を読んだとき何とも言えない感動と胸の高まりを覚えたのを、今でも思い出します。四十余年睡夢中 (四十余年睡夢の中)
しじゅうよねんすいむのなか
而今醒眼始朦朧 (今醒眼始めて朦朧)
いませいがんはじめてもうろう
不知日已過亭午 (知らず、日已に亭午(正午)を過ぎるを)
しらず、ひすでにていごをすぎるを
起向高楼撞暁鐘 (起って高楼に向かって暁鐘を撞く)
たってこうろうにむかってぎょうしょうをたたく