仕事が約束出来ること

 仕事は「契約」だということを忘れてはいませんか?
顧客とに間に「契約」が存在するように、組織の中にあっても、本来は「契約」でなければなりません。たとえば、営業との間の契約であったり、組織の管理者に対する契約であってもいいはずです。

 このような考え方に違和感を覚える人は、その仕事を外部に委託すると考えて見てば気付くことでしょう。ソフトウェア開発の作業は、本来その殆どは外部に委託することは可能です。それでも内製化するのは、その方が何かと便利であり、また事業展開上有利だからです。でも、内製化するがために約束が守れないのなら、内製化の根拠の一つを失うことになります。

 この種の「契約」がうまく機能していない理由は、組織の中にあっては「市場の論理」が成立していないからです。本来、「契約」と「選択」は一体な筈です。「選択」が行なわれるからこそ「契約」が成立するのです。しかしながら、多くの場合、組織の中にあっては「選択」は存在しません。複数のチームが一つのテーマを競い合うことは、今日では殆どありません。

 昔、この国が右肩上りの経済成長を遂げていた時代には、そのような「競争」をさせる余裕もあったでしょうが、今日では組織にそのような余裕はありません。そうなると、とても契約を果たせないことが分かっている組織でに対して、「契約」なしに「発注」することになります。

 当の開発グループも、「契約」できないことを承知で仕事を受けるのです。ただし、開発組織も何時までもこの状態を放置していては、「最後の選択」が行使されます。すなわち、丸ごと外部の組織に発注されることになります。その場合、いわゆる「外注」という形になるか、「アウトソーシング」という形になるか分かりませんが、後者の場合は、現存する開発部隊が丸ごと不要になります。

 企業が「市場の論理」で活動する以上、その内部も、本来は同じような論理で機能しなければ、どこかに亀裂が生じることは当然なのです。

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