耐えざる技術革新

last update: 2/9/97

 この世界の技術には、「長く使える技術」と「数年しか持たない技術」があります。
 長く使える技術としては、いわゆる「抽象化」の技術です。構造化分析、あるいはオブジェクト指向分析などがこれに含まれます。つまり「分析」と言う行為は、現実を抽象化して捉えることでもあるのです。
 この他、ソフトウェア.エンジニアリング全般に亙る技術や、プロジェクトの遂行に関る技術も、長期的に活用できる技術と言えるでしょう。

 これに対して数年しか持たない技術としては、プログラミング言語やシステム環境に関する技術です。例えば UNIX や NT 環境で操作が出来るよいう技術は、その環境に固有のものであり、その環境が変化する以上、それが有効である機関が短いのは言うまでもありません。プログラミング言語も同じようなことが言えます。今日では「VB」が書けるということが問われることは殆どありません。
 
 したがって、目先の技術だけでなく、「長く使える技術」を確実に手に入れていかなければなりません。そうでなければ、ある日突然市場の要請に応じることが出来ない自分を見ることになります。

 こうした技術革新も、実は「市場の要請」から産み出されるのです。技術は、より多くの人に利便性を提供するために産み出されます。便利なものでも、それが余りにも値段が高ければ、それを安く作るための技術が生み出されます。足を失った人に、普通の人と同じように行動してもらう為にも技術が生み出されます。そのような「要請」があることが技術革新に繋がるのです。

 ソフトウェアも全く同じなのです。もっと早く作りたい。もっと使いやすいものが欲しい。もっと安価なものが欲しい。このような要請が、新しいプログラミング言語や新しいソフトウェアの開発方法を産み出すのです。そして、これを上手く使うことで、市場の要請に応えることが出来るのです。

 この意味からも、耐えざる技術革新を怠ることは出来ないのです。



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