QOS

  これは Quality of Service の略で、簡単にいえば、サービスの品質ということになります。“OS”といっても、いわゆる「Operating System」そのものとは違います。ただし、OSにもQOSを意識したものがあります。組み込みシステムなどで広く使用されている RTOSと呼ばれるものの多くは、タスクに対して割り付けられている「優先度」に従ってサービスするため、実際に、どのタスクにどれだけの時間が割り当てられるかは、RTOSの責任ではないということが言えますが、優先度の他に、何らかの時間の割り当て制御が入ってくると、どのようなアルゴリズムで実現するかによってサービスに不満が生じかねません。つまり「QOS」が問われるわけです。
 このほか、通信サービスにもQOSが重要なポイントになってきます。限られた回線の能力の中で、如何に多くの顧客のサービスを実現するかは、顧客を繋ぎ止める最大級の要件です。そのために、要求内容を判断して、全体としてサービスの低下にならないようにアルゴリズムを考え出すわけです。
 QOSは、このような製品の中の技術に限りません。ビジネスそのものにもこの考えを持ち込みます。たとえば、コール・センターは、いかに顧客からの電話をさばくかが問われます。回線数やオペレータの人数の決定など、顧客を待たせないための工夫がそこに求められるわけです。何度電話しても、“ただいま電話が混み合っています。改めておかけ直しください”とワンパターンの応答しか返ってこないときは、頭に来ますね。こんなとき、待ち行列にいる件数を数え、平均の応対時間を元に、どれくらいの待ち時間が予想されるかぐらいは、返事して欲しいものです。もっと言えば、この人からの電話は昨日から5回目だと分かれば、待ち行列の前の方に割り込ませるぐらいの機転を利かせてもらいたいものですね。
 駅の、案内放送や高速道路の事故情報にもQOSの概念が抜け落ちていますね。あとどれぐらいで動き出すのか、15分ならそのまま待つとしても、1時間もかかるようなら別の行動をとることも考えられます。でも、そのような情報が流されることは殆どありません。“ただいま調査中です”とか“開通の見通しはたっておりません”と言うばかりですね。見通しも立てないで作業をしているのかと言いたくなります。もちろん、見通しは作業を進めていく中で狂うかもしれませんが、その時は、事情を説明して見通しを変更すればよいのです。
 競争が激化するなかで、QOSの差が勝負を分ける要因になるはずです。


「キーワード・リスト」にもどる