ABC/ABM

 これは別にソフトウェアの世界の用語ではありません。ABCとは“Activity-Based Costing”で、ABMとは“Activity-Based Management”の略です。つまり、ABMはABCに基づいたマネージメントということで、いずれも、コスト管理の技法です。どのようにコストが費やされているかを正確に把握する方法で、いわゆる、企業組織のリエンジニアリングの根底を為すものです。

 文献によると、1960年代にすでに考えられていたようで、今日では、アメリカの主要企業の殆どが採用しているということです。製品単位でのより正確なコスト計算ができるので、撤退をふくめた経営判断に的確な材料を提供するのでしょう。日本でも、1995年あたりから文献が出始めているのと、既に数冊の文献が出ているところから、取り入れている企業も少なくないのかもしれません(私の専門分野ではないので、そこまで情報を持っていません)。ただし、激化する世界の中での競争や、外国企業との統合や提携などの機会も多くなるなかで、日本の企業や組織も無視できなくなるものと思われます。

 基本になるのは「ABC」の方で、これは各人の作業やプロセスを「Activity」という「基本動作」の単位に分解します。ソフトウェアの世界で言うと、構造化分析のDFDの分割階層化の基準として「基本機能(Primitive Process)」というものがありますが、殆どそれと同じ発想です。「Activity」という単位になっていることで、担当者によって勝手に作業の内容が変えられたりする危険が減少します。そこにある選択は、その「Activity」を実施するかしないかであって、それをどのように実施するかという判断の入る余地が少ないのです。それによって、プロセスの定義が可能となり、プロセスの測定も実施できるのです。言い換えれば、CMMのレベル3の状態でもあります。

 CMM(SPICE)もISO-9000 もシックスシグマも、そしてABC/ABMも、結局は、同じ「山の頂上」を目指しているように思えてなりません。その登るルートが違うだけです。したがって、分野は違っても、その取り組み方などはお互いに参考になるはずです。


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