庵主の日記2

2003年5月3日 相手にされなかった首相

 イラク戦争後の対応について話しあうために、GWを利用して日本の首相がヨーロッパ各国を回ったが、ほとんど何らの成果もあがっていない。国連査察を巡って米国と鋭く対立したフランスとの間に入って調停に動くでも無し、戦後の国連中心の進め方に独自案を持って望んだわけでもない。少なくとも、米国を差し置いて、そのような外交ができるとは思えない。
 しからば何をしに行ったのか? 
 外務省は、訪問先の国との間で何をセットしたのか?
 まさか他の代議士のように物見遊山というわけには行かないだろうから、「外交日程」を組んだと思われるが、会談の中身まで事前にセットできていないのではないか。
 あるいは、抵抗勢力の策謀で日本の首相に恥をかかせるための日程を組んだのか、という穿った見方もできる。

 一方で、イラクの戦後復興支援に、20%の負担が妥当だという案が政府・自民党からでている。この「20%」というのは、湾岸戦争の時の負担割合と同じだそうだが、今回は誰からも要請されていないうちから、しかも全体の費用がどれくらいになるか分かっていないのに、まったく気の早い話である。これも「Show the Fkag」の一環のつもりだろうが、端から見ていると不思議な国に見えるだろう。
 もし、アメリカから「そんなに負担してもらわなくても結構です」と言われたらどうするつもりだろうか。世界を失望させ、世界から相手にされなくなっているという状況の中では、あり得ない話しではない。「デフレから抜け出せない状態では大変でしょうから」と言われれば、恐縮するしかないだろう。もちろん、その裏には、イラクを巡る石油の利権競争から日本を排除するというシナリオが考えられるのだが、政府・外務省は、その「リスク」に対して手は打っているのだろうか。

 誰からも頼まれていないのに、「20%の負担」を言い出すところをみると、今でも、政府・与党の関係者は、日本は「経済大国」として世界から期待されていると思っているのだろう。だが、世界の日本を見る目は変わっている。確かに「過去」に敬意を払ってくれてはいるが、「現在」の日本を見る目は厳しい。世界から「衰退する国」という目で見られていることに気付いていないとしたら、まちがいなく石油の利権競争から外されるだろう。

 今回の首相の訪欧が、このリスク管理の一環であれば良いのだが。結果は、そう遠くない時期に明らかになるだろう。