庵主の日記2

2003年5月1日 目処が立たないゴミ焼却場の解体

 ダイオキシンの発生が問題になってゴミ焼却場が最新式のものに作り替えられていく裏で、操業を停止した旧式のゴミ焼却場が解体できずに放置されている。当初は、簡単に解体できると目論んでいたようだが、焼却炉に溜まった灰を調べてみると、とんでもない高濃度のダイオキシンを含んでいることが判明し、簡単に解体できないことがわかったのである。
この状態で解体するには、全体をシートで覆い、内部の空気圧を下げ、さらに特殊なフィルターを設置して内部の灰が外に出ないようにして作業しなければならない。灰の搬送も特殊な搬送車が必要になる。そのために、解体費用は当初予算の3〜5倍にもなってしまうという。

 地方自治体によっては10数億円という解体費用を調達することは困難である。解体作業には国の補助はでないという。所轄官庁の話では、補助金は社会資産として残ることを想定していて、解体という作業には“馴染まない”という。そうなると、10数億円を自前で調達しなければならず、多くの自治体にとっては絶望的な数字である。同じ問題が原子力発電所の解体工事にも居えるのだが、役所としては、あくまでも「作る」ところにしか補助金は出さない方針である。この発想のままでは、日本は人が住めない国になる。

 自治体の中には、何とかして10数億円を調達して解体したところもあるようだが、多くは、資金調達の見通しが立たず、放置されたままである。ところが、放置された焼却場はどんどん腐食が進んでいて、煙突などは危険な状態になっているものもあるし、炉自身も錆が進行して、内部に風が入り灰を巻き上げる危険もある。もし、灰が巻き上げられれば、付近の住民の健康が害される危険もある。解体するなら、少しでも早いほうが良い。周辺に被害をまき散らしてからでは。解体費用の他に出費がかさむことになる。それだけではない、政府に対する信用も失う。

 もしここで解体費用に国から補助を出すということになれば、先に解体を実施した自治体は損をしたことになり、今後の悪しき前例となるであろう。判断が遅いということは、無用な混乱を招くのである。

(追・これは公営の焼却場の話しであって、この他に民間の焼却施設も使用されずに放置されている)